[論文レビュー] A bibliometric index based on the complete list of cited publications
本論文は、研究者の出版物のすべての被引用回数の平方根の合計を計算する、j-indexと呼ばれる文献計測指標を導入する。この指標は、極めて高い被引用回数を記録した論文によるバイアスを軽減すると同時に、全被引用記録を反映させることで、公平な影響力評価を実現することを目的としている。結果として、j-indexは他の指標と中程度から高い相関を示し、特に被引用回数の多くがhコア外に存在しない経済学分野では相関が強く、既存の指標を補完するものであることが示された。
We propose a new index, the $j$-index, which is defined for an author as the sum of the square roots of the numbers of citations to each of the author's publications. The idea behind the $j$-index it to remedy a drawback of the $h$-index $-$ that the $h$-index does not take into account the full citation record of a researcher. The square root function is motivated by our desire to avoid the possible bias that may occur with a simple sum when an author has several very highly cited papers. We compare the $j$-index to the $h$-index, the $g$-index and the total citation count for three subject areas using several association measures. Our results indicate that that the association between the $j$-index and the other indices varies according to the subject area. One explanation of this variation may be due to the proportion of citations to publications of the researcher that are in the $h$-core. The $j$-index is {\em not} an $h$-index variant, and as such is intended to complement rather than necessarily replace the $h$-index and other bibliometric indicators, thus providing a more complete picture of a researcher's achievements.
研究の動機と目的
- hインデックスがhコアを超える被引用回数を無視するという限界を是正するため、すべての出版物を考慮する新しいインデックスの開発。
- 少数の極めて高い被引用回数を記録した論文に偏るバイアスを軽減するため、単純な被引用回数や一部のhインデックス変種に起因する問題を是正する。
- とくに多数の中程度の被引用回数の論文を持つ長年の出版記録を持つ研究者を公平に評価できる指標の提案。
- hインデックス、gインデックス、総被引用回数と併用可能な補完的指標を提供し、研究影響力のより包括的な把握を可能にする。
- jインデックスが異なる学術分野でどのように機能するかを分析し、特にhコア外の被引用回数分布との関連を明らかにする。
提案手法
- jインデックスは、すべての出版物の被引用回数の平方根の合計として定義される:$ j = \sum \sqrt{C(i)} $、ここで $ C(i) $ は出版物 $ i $ の被引用回数を表す。
- jインデックスは、極端に高い被引用回数の影響を弱めるために平方根関数を用いる。
- jSインデックスは、ノイズ(低被引用や自己被引用)の影響を軽減するために、平方根をとる前に被引用回数を調整する平滑化されたバリエーションとして導入される。
- 著者らは、免疫学、経済学、物理学の3つのデータセットを用いて、jインデックスをhインデックス、gインデックス、総被引用回数と比較した。
- 相関係数などの統計的関連性指標を用いて、3つの学術分野におけるjインデックスに基づく順位と他のインデックスの順位との関係を評価した。
- 被引用回数を4つの要素に分割して分析した:hコア内被引用、最小要件hコア被引用、hコア内超過被引用、およびhコア外被引用。これにより、分野間での分布差を評価した。
実験結果
リサーチクエスチョン
- RQ1jインデックスは、異なる学術分野においてhインデックス、gインデックス、総被引用回数とどの程度相関するか。
- RQ2hコア外の被引用回数の割合が、jインデックスと他の文献計測指標との関連性にどの程度影響を及ぼすか。
- RQ3すべての出版物を考慮し、極端に高い被引用回数の論文によるバイアスを軽減することで、jインデックスは研究者の影響力をよりバランスの取れた形で評価できるか。
- RQ4jSインデックス(jインデックスの平滑化版)は、他のインデックスとの一貫性や相関性を向上させるか。
- RQ5どの学術分野でjインデックスが既存のインデックスと補完的役割を果たすのに最も有効か。
主な発見
- 経済学分野では、hコア外の被引用回数がほとんどないため、jインデックスは他の指標と最も高い相関を示し、hコア内被引用回数の割合が約0.922の相関係数を示した。
- 物理学および免疫学分野では相関が低く、それぞれ全被引用回数の28.6%および20.2%がhコア外に存在しており、jインデックスのような全被引用記録を反映する指標の必要性が顕著に現れている。
- hコア内での「超過被引用回数」の割合は顕著で、3分野すべてで約50%に達しており、hインデックスが真の被引用影響力を捉えていないという限界を示している。
- jSインデックス(jインデックスの平滑化版)は、他のインデックスとの相関を一般的に高め、低被引用や自己被引用によるノイズ低減の利点があると考えられる。
- jインデックスはhインデックスの代替ではなく、全出版物を含め、極端な被引用回数の影響を和らげることで、研究者の影響力評価をより包括的に提供する補完的指標である。
- 本研究は、被引用回数の分布が分野によって顕著に異なることを確認し、特にhコア外の被引用回数の割合が高い分野でjインデックスが特に価値ある補完的指標であることが示された。
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