[論文レビュー] Coverage of Author Identifiers in Web of Science and Scopus
本研究は、1996年から2014年までの間にWeb of ScienceとScopusに共通する603万件の出版物において、研究者ID、ORCID、Scopus著者IDのカバー率と分布を分析している。STM分野が著者IDのカバー率が最も高く、手動登録によるためResearcherIDの割り当てがORCIDよりも広く行われている。一方、Scopusの自動化システムは、表記の変換(トランスリタリゼーション)の問題によりアジア系の名前を好むバイアスを生じさせ、著者識別(同定)の正確性を損なっている。
As digital collections of scientific literature are widespread and used frequently in knowledge-intense working environments, it has become a challenge to identify author names correctly. The treatment of homonyms is crucial for the reliable resolution of author names. Apart from varying handling of first, middle and last names, vendors as well as the digital library community created tools to address the problem of author name disambiguation. This technical report focuses on two widespread collections of scientific literature, Web of Science (WoS) and Scopus, and the coverage with author identification information such as Researcher ID, ORCID and Scopus Author Identifier in the period 1996 - 2014. The goal of this study is to describe the significant differences of the two collections with respect to overall distribution of author identifiers and its use across different subject domains. We found that the STM disciplines show the best coverage of author identifiers in our dataset of 6,032,000 publications which are both covered by WoS and Scopus. In our dataset we found 184,823 distinct ResearcherIDs and 70,043 distinct ORCIDs. In the appendix of this report we list a complete overview of all WoS subject areas and the amount of author identifiers in these subject areas.
研究の動機と目的
- Web of ScienceおよびScopusにおける著者ID(ResearcherID、ORCID、Scopus著者ID)のカバー率と分布を評価すること。
- 異なる科学分野における著者IDの採用格差を特定すること。
- 名前の同音異義語および表記の変換が、引用データベースにおける自動著者識別(同定)に与える影響を評価すること。
- 手動で割り当てられた(ResearcherID、ORCID)と自動で割り当てられた(Scopus著者ID)著者IDの信頼性と正確性を比較すること。
- 著者IDのカバー率のギャップが、文献計測的分析および学術的ネットワーク分析に与える影響を検討すること。
提案手法
- DOIに加え、少なくとも2つの追加メタデータ項目(例:タイトル、巻、号、ISSN、最初のページ、最初の著者)を一致させる厳密な基準を用いて、Web of ScienceおよびScopusの両方に存在する6,032,000件の出版物のデータセットを構築した。
- マッチングされた出版物セット全体にわたって、3つの著者ID(ResearcherID、ORCID、Scopus著者ID)の存在をマッピングおよび分析した。
- FIZ Karlsruheが開発した重複検出インfraストラクチャを用いて、両データベースからのメタデータを標準化および統合した。
- 高い信頼性を持つ出版物ペアの特定を保証するため、フィールド一致から得られる最小317ポイントの重み基準を採用したマッチング戦略を適用した。
- WoSの分類に基づく分野別分析を実施し、分野ごとの著者IDの普及状況を比較した。
- 各著者IDシステムにおける出版物数上位の著者を評価し、自動割り当てに起因するバイアスの有無を検出するための分析を実施した。
実験結果
リサーチクエスチョン
- RQ1ResearcherID、ORCID、Scopus著者IDのカバー率は、Web of ScienceおよびScopusにおいてどのように比較されるか?
- RQ2どの科学的分野が著者IDのカバー率が最も高く、最も低いか?
- RQ3名前の表記の変換バイアスは、Scopusにおける自動著者ID割り当ての正確性にどの程度影響を及えるか?
- RQ4ResearcherIDおよびORCIDの手動登録プロセスと、Scopusの自動システムの信頼性および完全性の観点から、どのように比較できるか?
- RQ5著者IDのカバー率のギャップが、文献計測的分析および著者同定に与える影響は何か?
主な発見
- STM(科学、技術、医学)分野が、すべてのWoS分野の中で著者IDのカバー率が最も高い。
- ResearcherIDは、IDが割り当てられた出版物の70.5%に割り当てられ、ORCIDの29.5%に比べて、手動登録システムの採用が顕著に高いことを示している。
- Scopus著者IDは、100件以上の出版物を持つ8,219人の著者に割り当てられたが、上位10名の著者は全員アジア系の名前であり、一般的な西洋表記に変換されたものであった。これは、システム的なバイアスを示している。
- Scopus著者ID上位10名は、全員アジア系の名前(例:Wei Wang、Yan Wang)であり、表記の変換パターンが特定の名前の形態を好む傾向にあり、同定の正確性を低下させている。
- 各識別子システムの上位10名の著者に紐づく平均機関数は、Scopusで最も高く(151.4)、誤って割り当てられた可能性があるものの、広範な機関関連付けがなされていることを示している。
- ORCIDはオープンでAPI統合可能かつ非特許技術であるにもかかわらず、当時の研究ではResearcherIDより採用率が低かったが、ユーザー基盤は拡大傾向にあった。
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