[論文レビュー] Diagnostics of irradiated gas in galaxy nuclei. I: A Far-ultraviolet and X-ray dominated region code
本稿では、銀河核における放射線照射ガスをモデル化するための連成された準赤外線領域(PDR)およびX線駆動領域(XDR)コードを提示する。このコードは、PAHやH₂励起を含む詳細な熱的・化学的・放射的過程を組み込む。主な結果として、XDRではCO/CやHNC/HCNといった列密度比が、$N_{\rm H} = 10^{22}\rm\thinspace cm^{-2}$までほぼ一定に保たれるのに対し、PDRでは著しく変化することから、放射場や密度の変化下でもPDRとXDRの間で化学的構造に根本的な違いがあることが明らかになった。
We present a far-ultraviolet (PDR) and an X-ray dominated region (XDR) code. We include and discuss thermal and chemical processes that pertain to irradiated gas. An elaborate chemical network is used and a careful treatment of PAHs and H2 formation, destruction and excitation is included. For both codes we calculate four depth-dependent models for different densities and radiation fields, relevant to conditions in starburst galaxies and active galactic nuclei. A detailed comparison between PDR and XDR physics is made for total gas column densities between ~10^20 and ~10^25 cm^-2. We show cumulative line intensities for a number of fine-structure lines (e.g., [CII], [OI], [CI], [SiII], [FeII]), as well as cumulative column densities and column density ratios for a number of species (e.g., CO/H2, CO/C, HCO+/HCN, HNC/HCN). The comparison between the results for the PDRs and XDRs shows that column density ratios are almost constant up to N_H=10^22 cm^-2 for XDRs, unlike those in PDRs. For example, CO/C in PDRs changes over four orders of magnitude from the edge to N_H=10^22 cm^-2. The CO/C and CO/H2 ratios are lower in XDRs at low column densities and rise at N_H > 10^23 cm^-2. At most column densities N_H > 10^21.5 cm^-2, HNC/HCN ratios are lower in XDRs too, but they show a more moderate increase at higher N_H.
研究の動機と目的
- 銀河核における放射線照射ガスを現実的な物理的条件下でモデル化する包括的なPDRおよびXDRコードの開発。
- FUVおよびX線放射線場にさらされたガスの熱的および化学的構造の調査。
- 星形成暴走銀河および活動銀河核に関連する密度および放射場の範囲でPDRとXDRの物理的性質を比較。
- 高赤方偏移および局所銀河核における観測された微細構造線および列密度比を解釈するための診断ツールの提供。
- PDRおよびXDR環境下で、CO/C、HNC/HCN、CO/H₂といった列密度比が全水素列密度の増加に伴いどのように変化するかの定量的評価。
提案手法
- モデルは片側から放射線照射を受ける半無限スラブ幾何学を採用し、幾何的希釈なしに銀河中心の状態を模擬。
- FUVおよびX線放射場によって駆動されるイオン-分子反応、光電離、および電荷移動プロセスを含む包括的な化学ネットワークを用いる。
- 加熱は、粉塵およびPAHの光電離放射、H₂のFUVポンピング、宇宙線を含め、冷却は微細構造線および分子回転遷移によるものとして熱平衡を計算。
- H₂の生成・破壊および振動励起は、Tineら(1997年)およびYan(1997年)のレート係数を用い、生成時の振動エネルギーの統計的分布を含む。
- X線吸収は、Verner & Yakovlev(1995年)の全元素組成およびX線断面積を用い、深さ依存のフラックス減衰を$F(E,z) = F(E,0)\times\rm exp(-\tau)$で計算。
- 線強度および列密度は深さ方向に積分し、自己一貫的なイオン化および励起計算により放射線輸送を扱う。
実験結果
リサーチクエスチョン
- RQ1PDRとXDRにおいて、全水素列密度$N_{\rm H}$の増加に伴い、CO/C、HNC/HCN、CO/H₂といった列密度比はどのように変化するか?
- RQ2FUVとX線放射場が、銀河核における放射線照射ガスの熱的構造および化学組成に及ぼす影響は何か?
- RQ3PDRとXDRモデル間で、[CII] 158 μm、[OI] 63 μm、H₂回転振動線といった主要な診断線の累積線強度はどのように異なるか?
- RQ4XDRは、PDRと比較して広い列密度範囲で一定の組成比を維持する程度はどの程度か?
- RQ5さまざまな放射場下で、PDRおよびXDRにおける雲の深さに沿った炭素種(C⁺、C、CO)の相対的組成比はどのように変化するか?
主な発見
- PDRでは、雲の表面から$N_{\rm H} = 10^{22}\rm\thinspace cm^{-2}$までCO/C列密度比が4桁以上変化し、放射場および密度に強く敏感であることが示された。
- XDRでは、$N_{\rm H} = 10^{22}\rm\thinspace cm^{-2}$までCO/C比がほぼ一定に保たれ、X線放射線照射下でも化学的構造がより安定していることを示唆している。
- 低列密度ではXDRのCO/CおよびCO/H₂比は低いが、$N_{\rm H} > 10^{23}\rm\thinspace cm^{-2}$で顕著に増加し、深部XDRでは分子形成が強化される遷移を示している。
- HNC/HCN比は、$N_{\rm H} > 10^{21.5}\rm\thinspace cm^{-2}$でXDRがPDRより低く、列密度の増加に伴う上昇度合いもPDRよりやや穏やかである。
- 微細構造線強度、たとえば[CII] 158 μmおよび[OI] 63 μmはPDRおよびXDRの両方で強く、しかしイオン化および励起メカニズムの違いにより相対的強度に差が生じる。
- モデルは、XDRがFUV加熱が表面支配のPDRと比較して体積支配のX線加熱に起因するため、HからH₂、C⁺からCからCOへの遷移が滑らかであると予測している。
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