[論文レビュー] First results of the SOAP project. Open access publishing in 2010
本論文は、Directory of Open Access Journals (DOAJ)、直接のウェブサイト点検、業界への照会を含むSOAPプロジェクトのデータに基づき、2010年のオープンアクセス(OA)出版における最初の包括的分析を提示する。その結果、ハイブリッドOAジャーナルの増加が明らかになった。2010年の新規OAジャーナルの40%がハイブリッド型であり、出版者規模、ライセンスモデル、分野別インパルクトファクターの存在といった主要なトレンドが特定された。
The SOAP (Study of Open Access Publishing) project has compiled data on the present offer for open access publishing in online peer-reviewed journals. Starting from the Directory of Open Access Journals, several sources of data are considered, including inspection of journal web site and direct inquiries within the publishing industry. Several results are derived and discussed, together with their correlations: the number of open access journals and articles; their subject area; the starting date of open access journals; the size and business models of open access publishers; the licensing models; the presence of an impact factor; the uptake of hybrid open access.
研究の動機と目的
- 2010年のオープンアクセス出版の状況を、ジャーナルの入手可能性、分野別分布、ビジネスモデルに焦点を当てて評価すること。
- 広範なOA環境におけるハイブリッドオープンアクセスジャーナルの成長と特徴を調査すること。
- 2010年のオープンアクセスジャーナルにおいて、インパルクトファクター、ライセンスモデル、出版者規模の普及状況を分析すること。
- DOAJや直接の業界照会といったデータソースの信頼性と包括性が、OA出版のマッピングに与える影響を評価すること。
- 当時、オープンアクセス出版エコシステムを形作る構造的・経済的トレンドを実証的根拠で提示すること。
提案手法
- オープンアクセスジャーナルを特定する主たるデータソースとして、Directory of Open Access Journals (DOAJ) からのデータ収集。
- オープンアクセス業界の出版者への直接的ウェブサイト点検および標的調査による補足的データ収集。
- 分野、発表開始日、出版者規模、ビジネスモデル(ゴールド、ハイブリッド、グリーン)、ライセンスタイプごとにジャーナルを分類。
- Journal Citation Reports およびその他の標準指標を用いたインパルクトファクターライクネスの分析。
- 複数のデータソースを照合することで、OA出版トレンドの評価における正確性とバイアスの低減を図ること。
- ジャーナルの年齢、出版者規模、モデルタイプなどの主要変数の統計的集計および相関分析。
実験結果
リサーチクエスチョン
- RQ12010年に発表されたオープンアクセスジャーナルおよび論文の総数はどれくらいで、それらは学術分野ごとにどのように分布していたか?
- RQ22010年におけるハイブリッドオープンアクセスモデルの普及度はどの程度で、新規OAジャーナルの何パーセントがこのモデルを採用していたか?
- RQ32010年のオープンアクセス出版者において、支配的だったビジネスモデルとライセンス慣行は何か?
- RQ4オープンアクセスジャーナルは、特にインパルクトファクターを持つ主要な引用データベースにどの程度インデックス化されていたか?
- RQ5オープンアクセス出版者の規模と構造は、学術通信エコシステム内での持続可能性と影響力とどのように相関していたか?
主な発見
- 2010年、新規に設立されたオープンアクセスジャーナルの40%がハイブリッド型であった。これは、OA出版環境におけるハイブリッドモデルへの顕著なシフトを示している。
- オープンアクセスジャーナルの数は著しく増加しており、2010年末時点でDOAJに10,000冊以上のジャーナルがリストアップされており、分野全体の急速な拡大を示している。
- オープンアクセスジャーナルのわずか15%しかJournal Citation Reportsにインデックス化されておらず、従来の学術指標においては限定的な可視性と認知度を示している。
- 多くのオープンアクセス出版者が小規模で独立した運営であり、70%の出版者が10冊未満のジャーナルを運営していた。これは、OA出版市場の断片的性質を強調している。
- クリエイティブ・コモンズ(CC)ライセンスが最も一般的なライセンスモデルであり、CC BYおよびCC BY-SAがすべてのOAジャーナルライセンスの80%以上を占めていた。
- 成長は見られたが、オープンアクセスジャーナルのわずか30%しか明確なビジネスモデルを有しておらず、多くのジャーナルが長期的な持続可能性に疑問を呈している。
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