[論文レビュー] Home advantage and crowd attendance: Evidence from rugby during the Covid 19 pandemic
本研究は、COVID-19パンデミック期における自然実験を用いて、ラグビーにおける観客の存在がホーム優位に与える影響を調査するもので、11つの大会を通じて1,027試合を分析した。観客が不在となった際、ホームチームの勝率は5%低下し、平均得点差も2ポイント低下した。これは、観客の存在が心理的または社会的圧力の形で試合結果に顕著な影響を及える可能性を強く示唆している。
The COVID-19 pandemic forced almost all professional and amateur sports to be played without attending crowds. Thus, it induced a large-scale natural experiment on the impact of social pressure on decision making and behavior in sports fields. Using a data set of 1027 rugby union matches from 11 tournaments in 10 countries, we find that home teams have won less matches and their points difference decreased during the pandemics, shedding light on the impact of crowd attendance on the {\em home advantage} of sports teams.
研究の動機と目的
- コロナ禍に伴う観客の不在が、ラグビーにおけるホーム優位性に与える影響を検討すること。
- 大規模な自然実験を用いて、観客の存在がホーム優位性の要因であるかどうかを隔離すること。
- 心理的圧力、チームのモチベーション、または審判のバイアス(観客によって引き起こされるもの)が、ホーム優位性に寄与するかどうかを評価すること。
- プロラグビーにおける試合結果に与える観客の影響の大きさを、実証的証拠で提示すること。
提案手法
- 本研究は、2019/2020/2021年のシーズンにかけて10か国で開催された11つの大会から得られた1,027試合のラグビーユニオンデータセットを用いる。
- パンデミックに伴う制限の前後で試合を比較し、観客状況を「Covid」(完全制限)、「Restricted」(部分的出席)、「Closed」(観客なし)の3つに分類する。
- 平均の差の検定を実施し、観客状況ごとのホームチームの勝率と得点差の違いを比較する。
- 国、大会、チーム力(Predic)、移動距離、連勝・連敗の影響を制御するため、ロバスト標準誤差を用いた複数の重回帰モデルを推定する。
- 異なる観客状況下でのホームチームの勝利確率をモデル化するためにロジスティック回帰を用いる。
- Whiteの検定により異分散性が確認され、すべての重回帰モデルでロバスト標準誤差の使用が正当化された。

実験結果
リサーチクエスチョン
- RQ1コロナ禍期に観客が不在となった際、ラグビーにおけるホーム優位性は低下するか?
- RQ2観客の存在が、ホームチームとアウェイチームの得点差にどの程度影響を及えるか?
- RQ3ホーム優位性の要因は、選手や審判に及える観客由来の心理的圧力、それとも移動疲労などの他の要因に起因するか?
- RQ4完全制限、部分的出席、または観客なしという異なる観客制限のレベルにおいて、ホーム優位性の大きさはどのように異なるか?
- RQ5観客の存在がホーム優位性に与える影響は、大会の性別(男子対女子)によって異なるか?
主な発見
- 観客が制限または不在となったパンデミック期には、ホームチームの勝率が約5%低下し、ホーム優位性の低下が明確に認められた。
- 観客制限または閉鎖状態では、ホームチームの平均得点差が約6.7ポイントから4.4ポイントに低下した。
- 「Closed」状態におけるホーム勝率の差の片側検定p値は0.086であり、10%の有意水準でホーム優位性の有意な低下が示唆された。
- 得点差の低下は、片側検定で5%水準で有意であった。それぞれ「Covid」と「Restricted」状態のp値は0.0463および0.0461であった。
- ロジスティック回帰の結果、観客制限状態ではホームチームの勝利確率が低下しており、モデル仕様にかかわらず一貫した結果が得られた。
- 性別の変数が有意であったため、女子ラグビーリーグにおけるホーム優位性は男子リーグに比べて顕著でないことが示された。

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