[論文レビュー] Home advantage of European major football leagues under COVID-19 pandemic
本研究は、COVID-19パンデミック期のヨーロッパのプロサッカー・リーグにおける観客不在がホーム優位に与える影響を、共有されたホーム優位パラメータを有する動的レーティングモデルを用いて定量的に評価する。4つの主要リーグ(イングランド、ドイツ、イタリア、スペイン)において、観客なし試合ではホーム優位が顕著に低下したが、依然として残存優位が認められ、観客効果がホーム優位の主な要因である強力な証拠を示している。
Since March 2020, the environment surrounding football has changed dramatically because of the COVID-19 pandemic. After a few months' break, re-scheduled matches were held behind closed doors without spectators. The main objective of this study is a quantitative evaluation of ``crowd effects'' on home advantage, using the results of these closed matches. The proposed analysis uses pairwise comparison method to reduce the effects caused by the unbalanced schedule. The following conclusions were drawn from the statistical hypothesis tests conducted in this study: In four major European leagues, the home advantage is reduced in closed matches compared to than in the normal situation, i.e., with spectators. The reduction amounts among leagues were different. For example, in Germany, the home advantage was negative during the closed-match period. On the other hand,in England,statistically significant differences in home advantage were not observed between closed matches and normal situation.
研究の動機と目的
- パンデミック期における観客不在がヨーロッパのサッカーリーグにおけるホーム優位に与える定量的影響を評価すること。
- スケジュールの不均衡やチーム力の変動といった混同要因から、観客の存在の影響を分離すること。
- 『観客効果』がサッカーにおけるホーム優位の主な駆動要因であるかどうかを、強固な証拠で示すこと。
- 主要ヨーロッパリーグにおける通常試合、混合試合、閉門試合の3条件でのホーム優位レベルを比較すること。
- スケジュールの不均衡やチーム力の変化から独立してホーム優位を推定できる統計モデルを構築・適用すること。
提案手法
- 動的ロジスティック回帰モデルが、チーム力レーティングと共有されたホーム優位パラメータに基づいて試合結果を推定する。
- チーム力は時変レーティング $ r_i $ で表現され、ホーム優位は加法的パラメータ $ r_{\text{homeAdv}} $ としてモデル化される。
- ホームチームの勝利確率は $ \frac{1}{1 + \exp(-\Delta r)} $ でモデル化され、ここで $ \Delta r = r_i + r_{\text{homeAdv}} - r_j $ である。
- パラメータは5試合週ごとに再推定され、ホーム優位の時間的変化を追跡する。
- ホーム優位は、過去の通常試合、2019/20年の通常試合、2019/20年の閉門試合の3つの試合タイプで比較される。
- 分布の仮定に頼らないウィルコクソン順位和検定を用いて、各条件下での推定された $ \bar{r}_{\text{homeAdv}} $ の中央値を比較し、分布の仮定に頼らない堅牢性を確保する。
実験結果
リサーチクエスチョン
- RQ1COVID-19パンデミック期に観客が不在となったことで、ヨーロッパのサッカーリーグにおけるホーム優位が顕著に低下するか?
- RQ2異なるリーグにおいて、閉門試合におけるホーム優位の大きさは通常試合と比べてどの程度異なるか?
- RQ3スタジアムが空の状態でも、依然としてホーム優位が残存するか。これは、観客以外の要因が関与している可能性を示唆する。
- RQ4パンデミック期におけるスケジュールの不均衡やチーム力の変動が、ホーム優位の推定にどの程度影響を及ぼすか?
- RQ5観客不在の影響が、ヨーロッパの主要リーグのすべてで一貫しているか?
主な発見
- イングランド、ドイツ、イタリア、スペインの4つのリーグすべてにおいて、観客なし試合では通常試合と比較してホーム優位が顕著に低下した(すべての比較でp値 < 10⁻⁴)。
- ホーム優位の低下はドイツ(p = 3.98×10⁻⁵)とスペイン(p = 4.10×10⁻⁴)で最も顕著で、観客効果の強力な統計的証拠を示している。
- 観客なし試合でも依然として残存ホーム優位が認められ、全リーグで中央値 $ \bar{r}_{\text{homeAdv}} $ がゼロを超えていた。
- 過去の通常試合と2019/20年の通常試合との間に有意差は認められなかった(p = 0.272)。これはモデルの安定性と比較の信頼性を裏付けている。
- イングランドでは、通常試合と閉門試合の間に有意差が認められなかったが、これはスケジュールの不均衡に起因するとされた。弱いチームが閉門期間中により多くのホームゲームを消化したためである。
- 閉門期間中の最終順位とホームゲーム数の相関係数は、イングランドで最高(0.4052)であり、強力なチームが不釣り合いに多くホームゲームを割り当てられた可能性を示唆しており、これがホーム優位の真の低下を隠蔽していた可能性がある。
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