[論文レビュー] Satisfaction is not absolute
この論文は、一階論理における満たし関係が、同じ基礎的数学的構造(たとえば自然数やランク初期セグメント)を共有する集合論のモデル間でも絶対的でないことを示している。2つのモデルが構造に関して合意していても、その中で真であるとされる命題について合意しないことがある。これは、構造の明確性がその真理理論の明確性を含意するという仮定に疑問を呈するものである。
We prove that the satisfaction relation $\mathcal{N}\modelsφ[\vec a]$ of first-order logic is not absolute between models of set theory having the structure $\mathcal{N}$ and the formulas $φ$ all in common. Two models of set theory can have the same natural numbers, for example, and the same standard model of arithmetic $\langle\mathbb{N},{+},{\cdot},0,1,{\lt} angle$, yet disagree on their theories of arithmetic truth; two models of set theory can have the same natural numbers and the same arithmetic truths, yet disagree on their truths-about-truth, at any desired level of the iterated truth-predicate hierarchy; two models of set theory can have the same natural numbers and the same reals, yet disagree on projective truth; two models of set theory can have the same $\langle H_{ω_2},{\in} angle$ or the same rank-initial segment $\langle V_δ,{\in} angle$, yet disagree on which assertions are true in these structures. On the basis of these mathematical results, we argue that a philosophical commitment to the determinateness of the theory of truth for a structure cannot be seen as a consequence solely of the determinateness of the structure in which that truth resides. The determinate nature of arithmetic truth, for example, is not a consequence of the determinate nature of the arithmetic structure $\mathbb{N}=\{0,1,2,\ldots\}$ itself, but rather, we argue, is an additional higher-order commitment requiring its own analysis and justification.
研究の動機と目的
- 数学的構造(たとえば自然数)の明確性が、その一階論理的真理理論の明確性を含意するという哲学的仮定に反論すること。
- 集合論のモデルが同じ構造(たとえば ℕ、ℝ、Vδ)を共有しても、その構造における真偽について合意しないことがあることを数学的に示すこと。
- 算術的または集合論的真理の決定性が、基礎となる構造の決定性の論理的帰結ではないこと、すなわち、独立した高階の存在論的コミットメントを要することを主張すること。
- モデルが標準的算術モデルや実数について合意していても、繰り返し真理述語階層や射影的真理について合意しないことがあることを示すこと。
- 数学的対象の明確性とそれらの理論における真理の明確性を区別するための形式的根拠を提供し、両者を同一視する見解に反論すること。
提案手法
- 同じ構造(たとえば ⟨ℕ, +, ⋅, 0, 1, <⟩)において初等的に同値な集合論のモデルを構成し、特定の1階論理式の満たしについて合意しないこと。
- フォーシングと内部モデル技法を用いて、同じ自然数や実数を持つZFCのモデルを生成し、算術的真理や射影的真理の理論が異なること。
- 初等埋め込みと可換なランク初期セグメント(Vδ)の概念を適用し、これらの構造における満たし関係がモデル間で絶対的でないことを示すこと。
- 2つのモデルがHω₂やVδを構造として合意していても、それらがZFCを満たすかどうか(満たし関係の意味で)について合意しないことがあることを示すこと。
- 繰り返し真理述語階層を用いて、モデルが算術的真理について合意していても、高階の「真の真」について合意しないことがあることを示すこと。
- 定義可能部分集合と満たしの非絶対性を用いた証明技法により、自己同型では合意不一致を解消できないこと(したがって意味的曖昧性が原因でない)を示すこと。
実験結果
リサーチクエスチョン
- RQ12つの集合論モデルが同じ標準的算術モデルを持つが、その中で真である1階論理文が何かについて合意しないことは可能か?
- RQ2集合論のモデルが構造を合意している場合、ℕ や ℝ における命題の真偽は、モデル間で絶対的か?
- RQ3集合論のモデルが実数について合意していても、射影的命題の真偽について合意しないことは可能か?
- RQ4Vδ や Hω₂ といった構造における論理式の満たし関係は、その構造を共有するモデル間で絶対的か?
- RQ5数学的構造の明確性が、その一階論理的真理理論の明確性を論理的に含意するのか?
主な発見
- 2つの集合論モデルが同じ自然数を持ち、同じ標準的算術構造 ⟨ℕ, +, ⋅, 0, 1, <⟩ を持つが、1階算術文の真偽について合意しないことがある。
- モデルが実数と2階算術の構造について合意していても、射影的命題の真偽について合意しないことがある。
- 同じトランスティーブなランク初期セグメント Vδ を共有し、それがZFCを満たすと合意していても、満たし関係の意味でZFCを満たすかどうかについて合意しないことがある。
- 同じ Hω₂ 構造を持つモデルでも、その中で真である命題について合意しないことがある。これは、満たし関係が高階の構造に対しても絶対的でないことを示している。
- モデル間で満たし関係 φ ∈ Sat(⟨M, ∈⟩, φ) は、M や φ が両モデルで同一であっても絶対的でない。
- 本論文は、構造における真理の明確性が、構造自体の明確性から単独で導かれないこと、独立した存在論的コミットメントを要することを確立した。
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