[論文レビュー] Tropospheric ozone columns and ozone profiles for Kiev in 2007
本研究では、2007年3月から10月にかけてウクライナ・キエフで地上FTIR測定を実施し、衛星(Aqua-AIRS、Aura-MLS)および地上オゾンデータを入力として用いたMODTRAN4放射移動モデルを用いて対流圏オゾン層の柱密度およびプロファイルを測定した。FTIRで得られた全オゾン層の柱密度はOMI-DOAS(バイアス:−8~−10 DU、標準誤差約2%)およびOMI-TOMS(標準誤差0.68%)と良好な一致を示し、地域的オゾンモニタリングに本手法が有効であることを検証した。これにより、対流圏における日次的な光化学反応および混合プロセスの分析が可能となった。
We report on ground-based FTIR observations being performed within the framework of the ESA-NIVR-KNMI project 2907 entitled "OMI validation by ground based remote sensing: ozone columns and atmospheric profiles" for the purpose of OMI data validation. FTIR observations were performed during the time frames August-October 2005, June-October 2006 and March-October 2007, mostly under cloud free and clear sky conditions and in some days from early morning to sunset covering the full range of solar zenith angles possible. Ozone column and ozone profile data were obtained for the year 2005 using spectral modeling of the ozone spectral band profile near 9.6 microns with the MODTRAN3 band model based on the HITRAN-96 molecular absorption database. The total ozone column values retrieved from FTIR observations are biased low with respect to OMI-DOAS data by 8-10 DU on average, where they have a relatively small standard error of about 2%. FTIR observations for the year 2006 were simulated by MODTRAN4 modeling. For the retrieval of ozone column estimates and particularly ozone profiles from our FTIR observations, we used the following data sources to as input files to construct the (a priori) information for the model: satellite Aqua-AIRS water vapor and temperature profiles; Aura-MLS stratospheric ozone profiles (version 1.5), TEMIS climatological ozone profiles and the simultaneously performed surface ozone measurements. Ozone total columns obtained from our FTIR observations for year 2006 with MODTRAN4 modeling are matching rather well with OMI-TOMS and OMI-DOAS data where standard errors are 0.68% and 1.11%, respectively. AURA-MLS data which have become available in 2007 allow us to retrieve tropospheric ozone profiles.
研究の動機と目的
- 中位度の都市環境における地上FTIR観測を用いて、OMI衛星オゾンデータの妥当性を検証すること。
- 地上FTIR測定と衛星および地上データを組み合わせて、対流圏オゾンプロファイルを抽出すること。
- キエフ地域における対流圏オゾンの日次的光化学的変動および夜間の混合プロセスを分析すること。
- さまざまな大気条件下で、MODTRAN4モデリングによるオゾン層およびプロファイル抽出の正確性と信頼性を評価すること。
- 地域的大気質および気候モデル化のための長期的実地データセットを確立すること。
提案手法
- 最新化されたInfralum FT 801分光計(2–12 μm、~1 cm⁻¹分解能)を用いて、地上FTIR直接太陽観測を実施した。
- 測定スペクトルから全オゾン層およびプロファイルを抽出するために、HITRAN-96データベースを用いたMODTRAN4放射移動モデルを適用した。
- Aqua-AIRS(水蒸気、温度)、Aura-MLS(成層圏オゾン、バージョン1.5)、TEMIS気候学的プロファイル、および地上での直接測定による表面オゾン測定値を事前プロファイルとして統合した。
- FTIR抽出結果の妥当性を検証するため、OMI-DOASおよびOMI-TOMSの全オゾン層を基準として用いた。
- 利用可能な場合、抽出された対流圏プロファイルをAura-TES観測と比較して検証した。
- 差分光吸収法の原則に従い、9.6 μmオゾンバンド全域でのスペクトルフィッティングを実施した。
実験結果
リサーチクエスチョン
- RQ1地上FTIRで得られた全オゾン層の柱密度は、キエフ地域におけるOMI-DOASおよびOMI-TOMS衛星データとどの程度一致するか?
- RQ2曇りや大気状態の変化が、FTIRオゾン抽出精度に及ぼす影響は何か?
- RQ3FTIRデータから抽出された対流圏オゾンプロファイルは、Aura-MLSおよびAura-TES観測とどの程度一致するか?
- RQ4キエフ地域における対流圏オゾン変動に、日次的な光化学的および力学的プロセスがどのように寄与しているか?
- RQ5事前データを用いたMODTRAN4モデリングは、都市部における対流圏オゾンプロファイルの信頼性ある抽出を可能にするか?
主な発見
- FTIRで得られた全オゾン層の柱密度は、OMI-DOASデータと比較して平均バイアスが−8~−10 DUであり、標準誤差は約2%とわずかであった。
- OMI-TOMSおよびOMI-DOASデータは、FTIR結果と比較してそれぞれ標準誤差0.68%および1.11%を示し、強い一致を示した。
- MODTRAN4と事前データを用いた対流圏オゾンプロファイル抽出により、日次的な光化学的変動が明らかになった。特に、朝にはNOxによるオゾンチタレーションが観測され、昼間にかけて濃度が上昇した。
- 夜間の混合プロセスが対流圏オゾンプロファイルに観測され、垂直方向の再分配が生じていることが示された。
- Aura-TESデータがない日には、TEMIS月間気候学的プロファイルを代替として使用したため、連続的なプロファイル抽出が可能となった。
- 本研究は、MODTRAN4と複数のソースの事前データを組み合わせた地上FTIRを用いた、日常的な対流圏オゾンモニタリングの実現可能性を確認した。
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