東京大学、京都大学、大阪大学など日本QSトップ10大学の研究室情報です。
Akihiko Ito教授の研究室は、地球温暖化の主な要因であるメタンや亜酸化窒素などのGreenhouse Gases(GHG)の全球的な発生・消失プロセスを、プロセスベースの地球システムモデルと観測データを統合して解明しています。特に、土壌のミネラル成分や水・炭素循環の連携が陸上生態系のGHG収支に与える影響を、グローバルスケールで定量的に評価しています。近年では、未解明のメタン増加要因の特定や、炭素循環の不確実性の縮小に貢献する研究が中心です。
Harada教授の研究室は、ソフトX線分光法を核として、物質の電子状態と原子配置の微視的解明を目的としています。特に、高分解能X線吸収・散乱分光を用いた分子・固体の電子構造解析や、表面・界面における電子状態の精密な観察が特色です。水や金属酸化物、有機半導体薄膜など多様な材料を対象とし、光子の偏光制御や高精度分光技術を駆使して、電子相関や化学結合の詳細を解明しています。
Tomohiro Yasukawa教授の研究室では、キラル配 ligandで修飾された金属ナノ粒子を用いた新しい不斉触媒系の開発を主眼としています。特に、C–C形成反応、特にアリールホウ酸とα,β-不飽和カルボニル化合物との1,4-付加反応を効率的かつ高エナンチオステレオ選択的に実現する触媒系の構築に注力しています。ナノ粒子の表面にキラルリガンドを担持することで、高い活性性と再利用性を併せ持つ固体触媒を創出し、金属のリークを抑える画期的なプロトコルを確立しています。
Hirokazu Takami教授の研究室では、脳腫瘍、特に髄膜母細胞腫瘍(GCT)や髄膜母細胞腫瘍(NGGCT)の分子病理学的特徴とその発がんメカニズムを解明することを主眼としています。p53遺伝子変異と免疫染色の相関関係の再評価や、染色体12pの増幅が悪性成分や予後予測に寄与する可能性を解明しており、腫瘍の微小環境や分化状態が腫瘍行動に与える影響にも注目しています。臨床的意義の高いバイオマーカーの同定と、個別化医療に向けた分子標的治療の開発を目指しています。
Tadayuki Takahashi教授の研究室は、高エネルギー宇宙X線・ガンマ線を対象とした宇宙望遠鏡の開発と、その観測データの解析を柱としています。主な研究分野は、ハードX線・ガンマ線検出器の高感度化、低バックグラウンド技術、および天体対象(特にBL Lac対象や活発銀河核)の高エネルギー変動メカニズムの解明です。特にSuzakuやASTRO-H(Einstein X-ray Telescope)といった人工衛星ミッションの開発・運用に深く関与し、宇宙高エネルギー天文学の前線を担っています。
大村芳晴教授の研究室では、地球の磁気圏における高エネルギー粒子と電磁波の非線形相互作用を、理論的・数値的アプローチを用いて解明しています。特に、ホイストラーモードチャーレージュ波や電磁性イオンサイクロトロン波の生成メカニズム、およびそれらが高エネルギー電子を効率的に加速するプロセスに注目しています。また、磁気圏プラズマにおける非線形波動現象や、粒子と波の共鳴相互作用の物理を、数値シミュレーションと解析理論の両面から研究しています。
Shuhei Yoshida教授の研究室では、高エントロピー合金やレアアース含有金属材料の設計・特性評価を柱として、非等原子比合金における力学的特性の向上に向けた組成制御と微視的メカニズムの解明を進めています。特に、コバルト含有量の影響や、難熔性中エントロピー合金におけるすべり行動の解析を通じて、強度と延性のバランスを高める材料設計の基盤を構築しています。また、炭素ナノ材料の熱伝導特性や分子液体の粘性挙動に関する理論的・実験的アプローチも併行して展開しています。
Li Ji教授の研究室は、サイクリックP450酵素を用いた代謝反応機構の解明を柱としており、特にアルキル基のヒドロキシル化や脱水素化、およびフェノール類のカップリング反応における反応選択性や遷移状態のメカニズムを、DFTやQM/MM計算を駆使して解明しています。環境中で検出される内分泌攪乱物質(EDCs)やフレームローダントの代謝経路についても、P450による生体活性化機構を計算化学的手法で解明し、リスク評価に貢献しています。
Fumio Matsuda教授の研究室は、質量分析を基盤としたメタボローム解析を通じて、植物の代謝機構とその遺伝的制御を解明することを目的としています。特に、LC-MSを用いた非標的代謝物プロファイル解析や、MS/MSスプライストリプル(MS2T)ライブラリを活用した代謝物の迅速同定技術の開発に注力しています。また、 rice やアラビドキシスをモデルとして、遺伝子多様性と代謝物の関連を解明するQTL解析やGWASによる代謝制御の遺伝的基盤の解明も進めています。
Nobuhiko Kamada教授の研究室は、腸内微生物と宿主免疫系の相互作用に注目し、特に腸管免疫細胞(特にマacrophage)と病原性・共生性細菌の関係を解明しています。特に、クローン病などの炎症性腸疾患(IBD)の発症メカニズムにおいて、腸内マクロファージの機能異常や微生物叢の不均衡(ディスbios)が果たす役割を分子・細胞レベルで解明しています。また、食事由来栄養素と腸内微生物・免疫系の相互作用についても、病態形成への影響を解明する研究を展開しています。
Junko Morikawa教授の研究室では、微小構造やナノスケールの物質における熱伝導・熱拡散特性を、温度波解析(TWA)を核とした非破壊・高分解能測定技術を用いて解明しています。特に、薄膜・生体材料・レーザー加工領域など、多様な材料の熱的性質と微視的構造の関係を、熱的・機械的・光学的性質の連携から解明しています。近年では、生体模倣構造やレーザー誘起微細構造の熱的不均一性の評価にも応用を広げており、次世代エレクトロニクスやバイオデバイスへの応用が目指されています。
Yuta Nabae教授の研究室では、次世代エネルギー変換技術としての固体酸化物・塩化塩燃料電池や、非白金族金属触媒を用いた電気化学的酸素還元反応の開発を主軸としています。特に、炭素を直接利用するハイブリッド直接炭素燃料電池(HDCFC)の反応機構解明や、窒素ドープ炭素触媒を用いた過酸化水素の電気合成、さらには金属フリーな酸化触媒の開発にも取り組んでいます。高効率で安価なエネルギー変換・生成プロセスの実現に貢献する革新的な材料と反応機構の解明が、研究の柱です。
Jike Han教授の研究室では、大変形を伴う構造物の破壊挙動を高精度に予測するための非局所損傷モデルと相場理論を統合した数値解析手法の開発を主眼としています。特に、破壊の遷移過程を安定的にシミュレートできる「拡散-離散クラック遷移法」や、Isogeometric Analysisと組み合わせた高精度な損傷解析法の構築が進んでいます。また、動的破壊や複雑形状構造物の応力集中・亀裂進展予測にも応用を広げており、実用的で計算安定性の高いシミュレーション技術の確立を目指しています。
阿部亜紀子教授の研究室では、分子ナノカーボンの合成とその機能制御を柱として、環状π共有系を有する新規炭素ナノリング(CPP、CNBなど)の創製に取り組んでいます。特に、合成的手法の開発と、その電子的・光学的性質の解明を通じて、分子のサイズ依存性や磁気的性質(反磁的閉路電流)の理解を深めています。また、立方体骨格を有するカビン誘導体のプログラム可能合成や、機械的連結分子への応用など、分子の構造と機能の関係を解明する多様な研究が展開されています。
東脇教授の研究室では、血管新生(angiogenesis)の分子メカニズムに焦点を当て、特に一氧化窒素(NO)と血管内皮細胞の機能が虚血組織の修復に果たす役割を解明しています。L-アルギニンやeNOSの活性が血管新生を促進するメカニズムの解明や、造血幹細胞由来の内皮 progenitor細胞(EPC)の機能的特性についても、動物モデルやin vitro系を用いて研究を進めています。特に、VEGFの血管透過性誘導作用がNOとプロスタシクリンに依存することも明らかにしています。
Taito Matsuda教授の研究室は、脳の恒常的維持と損傷修復を担う神経幹細胞の制御機構に注目し、特に成人海馬における神経新生の調節とその障害が学習・記憶に与える影響を解明しています。特に、ミクログリアが脳内DNAを認識することで神経新生を抑制する新たな自己免疫的メカニズムや、小児期の麻酔暴露が神経幹細胞の機能に持続的な影響を与える epigenetic 変化のメカニズムを解明しています。また、神経再生を促すための幹細胞の活性化や、細胞の転プログラミング技術の応用にも取り組んでいます。
中西貴志教授の研究室では、フラーレンを核とした自己組織化系を用い、ナノスケールからマクロスケールにまで及ぶ階層的構造を制御的に形成する研究を行っています。特に、アルキル鎖の導入による分子設計とπ-π相互作用・ファンデルワールス力のバランスを制御することで、光・電気特性に優れた機能性超分子アセンブリを創出しています。その応用として、発光インクや超撥水性表面材料の開発にも進んでいます。
Takada教授の研究室は、心不全に伴う運動不耐症のメカニズム解明とその治療戦略の確立を主眼としています。特に、筋細胞のミトコンドリア機能低下や代謝不全に着目し、低強度運動と血流制限(BFR)を組み合わせた治療法や、SGLT2阻害薬・DPP-4阻害薬などの薬理的介入が筋代謝に与える影響を、マウスモデルを用いて解明しています。また、酸化的なストレスやレニン・アンジオテンシン系の活性化が運動能力に与える影響についても、分子メカニズムの解明を進めています。
Oishi教授の研究室は、難聴や耳鳴りの発症メカニズムとその治療法の解明を柱としています。特に薬剤性難聴(例:アミノグリコシドによる難聴)の分子機構や、エンドプラズミックリティキュラムストレス・ unfolded protein response(UPR)の役割に注目し、神経障害の予防や再生医療への応用をめざしています。また、難聴の重症度評価や、うつ・不安症状との関連、睡眠障害との複雑な関係についても臨床的・分子的アプローチを併用して研究を推進しています。
Komatsu教授の研究室では、細胞内におけるタンパク質の動的挙動をリアルタイムで可視化するための新規蛍光プローブ開発に注力しています。特に、反応後に蛍光が強く発現する「蛍光活性化型プローブ」や、FRETを応用したラベル反応の即時検出技術を基盤とし、膜タンパク質の挙動解析に応用しています。また、単一分子レベルでの酵素活性プロファイリング技術の開発を通じて、生体分子の高感度・高特異的同定にも貢献しています。