東京大学、京都大学、大阪大学など日本QSトップ10大学の研究室情報です。
奈藤幹彦教授の研究室は、がんをはじめとする疾患に関与する病的タンパク質の特異的分解を促進する新規薬剤の開発を柱としています。特に、IAP(インヒビター・オブ・アポトーシス・タンパク質)を標的にしたSNIPER(Specific and Non-genetic IAP-dependent Protein Erasers)と呼ばれるハイブリッド小分子を用い、プロテアソーム経路を介したタンパク質分解を誘導する画期的な技術を開発。この手法により、がん細胞の治療抵抗性を克服する新たながん治療戦略の構築を目指しています。
Maldwyn J. Evans教授の研究室は、生物多様性の喪失と生態系の変化に伴う種の絶滅リスクを解明するため、特に生息地断片化や外来捕食者の影響、種の再導入・移住に関する長期的生態学的データを基盤にした研究を推進しています。特に、短期的反応から長期的結果を予測するための科学的根拠の構築や、保全活動における科学的知見と現地事例の統合を重視しています。研究は、実験的長期観察(例:Wog Wog Habitat Fragmentation Experiment)や、昆虫の分解過程における生態的役割、保全トランスロケーションの歴史的・地理的トレンド分析を通じて展開されています。
Katagiri教授の研究室では、口腔内微生物と代謝疾患の関連を解明するため、特に歯周病原性細菌『ペルオドントバクテリウム・ジンジャリス』に由来するエンドトキシンが脂肪肝や糖脂質代謝に与える影響を、マウスモデルを用いて分子・細胞レベルで解析しています。また、糖尿病や脳卒中の患者を対象とした臨床的・細菌叢的アプローチを通じて、全身疾患と口腔環境の相互作用を解明しています。さらに、レーザーを用いた歯周組織修復の分子機構についても、細胞応答の観点から基礎的・臨床的応用を模索しています。
福田知宏教授の研究室は、宇宙初期状態における素粒子物理学と宇宙論の交差点に焦点を当てており、特にプリミティブブラックホールやスピン密度波動、磁場の生成メカニズムを通じて、物質不均衡、暗黒物質、宇宙の構造形成の起源を統一的に解明することを目指しています。高周波数重力波の観測可能性や、宇宙背景放射の偏光異常を用いた新規場の探索も重要な研究テーマです。理論的枠組みとしての電磁場のカオス的励起や、axion-like粒子による初期宇宙のエネルギー密度の変動についても深く探求しています。
Sagawa教授の研究室は、有機・酸化物半導体ナノ材料の自己集合挙動とその光物性を解明する研究を展開しています。特に、ポルフィリンやピレンを用いた光機能性分子の微小繊維状自己集合構造の形成と、その光電特性評価に注力しており、有機太陽電池や量子点太陽電池の効率向上に寄与する材料設計をめざしています。また、リチウムドーピングや界面制御による光吸収・電荷抽出の最適化も重要な研究テーマです。
崔昇華教授の研究室は、地震誘発土石流や斜面崩壊の発生機構を解明することを主眼としており、特に積層斜面における繰返し地震応答と損傷蓄積のメカニズムに注力しています。実験的・観測的アプローチを組み合わせ、震動台実験やリモートセンシング、InSAR技術を用いて斜面の変形挙動と破壊メカニズムを多角的に解明しています。また、破壊界面の力学的特性や岩石の非線形損傷挙動の解明にも取り組んでいます。
Yukio Kawano教授の研究室は、炭素ナノ材料を用いた次世代の高感度・周波数可変型テラヘルツ(THz)検出器の開発を主軸としています。グラフェンやカーボンナノチューブを用いたトランジスタ構造を応用し、磁場や外部電圧によるフェルミ準位制御により、広帯域かつ高感度なTHz波・赤外波の検出を実現しています。特に、量子ドットや2次元電子系を組み合わせた新規検出メカニズムの解明や、フレキシブルで曲げ可能なTHzイメージャーの開発にも取り組んでいます。
Woo-Young Lee教授の研究室では、ダイヤモンド・ライク・カーボン(DLC)およびテトラヘドラルアモルファスカーボン(ta-C)コーティングの摩擦・摩耗特性に注目し、高温・高湿・異なるガス雰囲気下における摩擦メカニズムの解明を進めています。特に、環境要因が表面の炭素移行層やグラファイト化に与える影響を、実験的手法と表面分析を組み合わせて解明しています。また、コーティングの構造的特徴(sp³含有率、基板バイアス)と摩耗挙動の関係についても、高精度なコーティングプロセスの最適化を目指しています。
伊駒善文教授の研究室では、半導体材料のナノ構造制御と新規プロセス開発を柱として、Si、Ge、GaAsなどの半導体を対象に、高圧歪み加工(HPT)を用いた結晶相の制御や、超薄膜シリカカーバイド(3C-SiC)のエpitaxial成長を実現しています。特に、HPTによる金属的性質を示す不安定な相の生成と、その後のアニール処理による相転移と発光特性の制御に注力しており、ナノ構造に起因する特異な光物性の創出を目指しています。
伊ヶ谷直樹教授の研究室では、建物内・周辺の流れと換気メカニズムを、数値流体力学的手法を用いて解明しています。特に、建物群内の風の流れと換気効率に与える開口部位置の影響を、RANS法を用いたCFLシミュレーションで定量的に分析しています。また、室内における汚染物質の拡散や脱出挙動を定式化するため、ネット脱出速度(NEV)やネット脱出確率(NEP)といった新規な物理的指標の数学的基盤を構築しています。これらの研究は、都市環境における熱環境改善や健康に配慮した建物設計に貢献します。
Wang教授の研究室では、蒸発・拡散・熱・界面力が複雑に働く多成分ドロップレットの動的挙動を、実験的・理論的アプローチを融合して解明しています。特に、界面張力勾配や熱マランゴニ効果が液体の濡れ・拡散・蒸発に与える影響を、数学的モデリングと赤外熱画像法を用いて定量的に解明しています。工業的・環境的応用が期待される液体デヒュミディフィケーションや熱管理技術の基盤を提供することを目指しています。
Fei Jiang教授の研究室は、地球流体工学と計算流体力学を基盤とし、炭素隔離・オイル回収におけるメッシュフリーな数値シミュレーション技術の開発を主眼としています。特に、マイクロCT画像を基にしたデジタル・ロックス・ポアモデル構築、格子ボルツマン法を用いた多相流挙動のシミュレーション、および深層学習を用いたスケーリングアップ済み透水係数予測のワークフロー開発が特徴です。これらの技術は、炭素隔離の効率化や油田回収技術の最適化に貢献する、実用的で高精度な数値予測手法の構築を目的としています。
本研究室では、サイトカイン受容体を介したシグナル伝達機構、特にJAK-STAT経路の制御機構とその異常による血液疾患・がんの発症メカニズムを解明することを主眼としています。特にエリスロポエチン受容体とJAK2の相互作用、およびJAK2の変異が細胞増殖異常を引き起こす分子機構に焦点を当て、造血疾患の発症機構の解明を進めています。また、コーヒーに含まれる生理活性物質が代謝疾患や炎症反応に与える影響についても、細胞・動物モデルを用いてそのメカニズムを解析しています。
Michio Suzuki教授の研究室は、軟体動物の殻形成機構に注目し、特にカルシウム炭酸塩と有機マトリックスの相互作用を解明する研究を推進しています。特に、真珠貝の柱状層や黒ずみムールの殻に含まれる新規マトリックスタンパク質やキチンの機能を分子・構造レベルで解明しています。また、神経疾患の神経生物学的基盤や、成長期の脳の構造的変化についても神経画像解析を用いて研究を展開しています。
張静偉教授の研究室は、数値解析と応用数学を基盤とし、反応拡散系や確率的化学反応モデルを対象とした数理的・数値的解析を専門としています。特に、数値流体・固体力学における数値手続法(NMM)の理論的基盤強化や、化学マスター方程式の次元の呪いを克服するための数値解法・並列計算手法の開発が進んでいます。また、段階構造を有する生態モデルにおける進行波解の存在解析など、非線形偏微分方程式の解構造解明にも取り組んでいます。
井上芳夫教授の研究室では、農業と環境の持続可能性を実現するため、リモートセンシングを活用したスマートファーミング技術の開発を主眼としています。特に、作物の生理的状態を非破壊で高精度に評価するための分光測定技術や、画像解析・AIを応用した生育診断・収量予測手法の研究が進んでいます。地域や気候に応じた普遍的な推定モデルの構築や、農業の省力化・省資源化に貢献する知的農業基盤の構築が目指されています。
Asuman Çelik Küçük教授の研究室では、有機溶媒中でのフルオライドイオンショートルーティングを実現する新規電解質系の開発に注力しています。特にシロキサン系液体電解質やポリヘキサメチレングリコール誘導体を用いた高安定性・高安全性なフルオライドショートルーティング電池(FSB)の構築が主な研究テーマです。また、デュアルデッカー型ポリヘキサメチレンシルセスクオキサン(DDSQ)を基盤とする機能性ナノ材料の合成と、その表面性向上やプロトン伝導性・光電気的特性の評価も進めています。
柴川正宏教授の研究室は、自己免疫性 pancreatitis(AIP)やIgG4関連疾患(IgG4-RD)の病態解明を柱としており、特に自己抗体の同定とその標的抗原としてのextracellular matrix(ECM)タンパク質、特に laminin 511-E8の役割に注目しています。また、PARP-1の機能異常と生殖細胞腫瘍の発症との関連や、HES1の転写因子が膵臓がんにおいてどのように機能するかといった、がん・自己免疫・発生の交差点に立つ研究を展開しています。非侵襲的診断法の開発や、疾患の予防的アプローチの確立を目指した翻訳的研究も進められています。
Goto教授の研究室では、タンパク質の構造と動態の解明を柱とし、特に酸性条件下におけるタンパク質の折りたたみ・アンフォールド状態のメカニズムに注目しています。低pHや塩の存在がタンパク質のコンformationに与える影響を、CD、NMR、蛍光分光法などを用いて詳細に解析しています。また、ナノ材料の合成や、アルコールによるタンパク質の構造安定化機構についても、物質の分子設計的視点から研究を展開しています。
Ken Onda教授の研究室は、半導体・酸化物界面における光誘起電子移動や、分子機能材料における光反応機構を、時間分解光電子分光法や理論計算を融合して解明しています。特に、TiO₂/水界面における「湿った電子(wet-electron)」状態の特定や、有機半導体やレアアース・レニウム錯体を用いた光触媒系の電子移動ダイナミクスに注力しています。また、光機能性錯体の励起状態の直接観測や、CO₂還元触媒の分子設計にも貢献しています。