東京大学、京都大学、大阪大学など日本QSトップ10大学の研究室情報です。
渡辺博教授の研究室は、高分子の動的緩和挙動とその微視的メカニズムを、誘電分極と粘弾性測定を融合した手法で解明しています。特に、ブロックコポリマーの自己組織化や、分子量分布が異なる高分子ブレンドの制約解放(CR)挙動、およびダイナミックチューブ拡張(DTD)モデルの妥当性を、実験的・理論的両面から検証しています。研究の柱は、分子スケールでの運動とマクロな物理的性質との橋渡しにあります。
Michihiro Araki教授の研究室は、合成生物学とシステム代謝工学を基盤に、RNAを用いたアルロステリック制御の設計や、微生物による二次代謝産物のバイオプロダクションを主な研究テーマとしています。特に、リボザイムを用いた遺伝子発現制御や、機械学習を活用した代謝経路の探索・最適化が特徴です。また、疾患予測のための機械学習手法の応用や、代謝制御理論(dFBA)を用いた微生物の代謝プロバイオティクスの評価も行っています。
中谷一彦教授の研究室は、視細胞の光感応機構とイオンチャネルの機能を、膜電流記録技術を用いて分子レベルで解明する研究を展開しています。特に、ロウのロッド細胞を用いた電気生理学的・生化学的アプローチにより、cGMP依存性チャネルの制御機構や、DNA二重らせんの異常構造(G-ボイドやG-Gミスマッチ)に対する特異的結合化合物の設計・評価も行っています。光応答の分子機構と、それに関連する核酸構造の精密制御の両分野で、基礎神経生物学と核酸化学の接点を研究しています。
Genti Toyokuni教授の研究室は、地球内部の三次元構造を高分解能で解明するための地震波トモグラフィー技術の開発と応用を柱としています。特に、プレート境界域におけるマントルウェッジやマグマ関連の高温異常、スラブの深部挙動を解明し、地震発生メカニズムの理解を深めることを目的としています。近年では、計算資源を効率的に活用するための波形合成手法の革新や、地域的・グローバルな地震観測データの統合解析にも取り組んでいます。
Kamada教授の研究室では、レアアースドープな garnet 結晶を用いた高効率なシンチレーション材料の開発を主軸としています。特に、CeやPrをドープしたLuAGやGAGG系結晶の成長条件最適化、結晶品質の向上、および光量子効率やエネルギー分解能の向上に注力しています。また、原子磁気計を用いた生体磁気信号(MCG)の非侵襲的測定技術の開発も進め、医療応用に向けた新規センシング技術の創出を目指しています。
三石正也教授の研究室では、自己組織化膜やナノスケールの機能性材料を基盤に、光・電気・熱の刺激応答性を示す高機能ポリマーおよびハイブリッドナノアセンブリの創出をめざしています。特に、Langmuir-Blodgett法を用いた超薄膜の精密な構築と、その光学的・物性的特性の解明が柱であり、センサーやナオアクチュエータ、光デバイスへの応用が目指されています。また、ポリマーと金属ナノ粒子、またはケイ酸エステル系ナノ粒子を組み合わせたスマート材料の開発も進んでいます。
Moriguchi教授の研究室は、土砂災害や斜面崩壊などの地理的災害における大規模な変形挙動を数値的に予測することを目的としています。主に、土砂を粘性流体としてモデル化し、ボイジンの流れ則に基づく構成則を用いた数値解析手法の開発を進めています。特に、CIPスキームを用いた流体・固体・気体を併存させる数値計算手法の応用が特徴で、実災害の現場調査データと照合した実践的な災害予測の高度化を目指しています。
Takaaki Abe教授の研究室は、膜タンパク質としての輸送体の分子生物学的同定と機能解析を柱としており、特にグルタメート受容体や有機アニオン輸送体(OATP/LSTファミリー)のクローニング、組織特異的発現、基質特異性の解明を進めています。神経系や肝臓、精巣など多様な臓器における輸送系の役割を解明し、疾患メカニズムや薬物代謝への応用を視野に研究を展開しています。また、腎疾患における尿毒症毒素の腸内産生に影響を及えるSGLT1阻害薬の作用など、臨床的応用に繋がる分子機構の解明も行っています。
Takashi Yoshimura教授の研究室では、季節的環境変化に適応するための神経内分泌メカニズムを、ニワトリ科のキジをモデル生物として解明しています。特に、光周期が生殖活動に与える影響を制御する「脳内甲状腺ホルモンの局所的活性化」の仕組みに注目し、TSHの別様式分泌と組織特異的糖鎖修飾がどのように季節リズムを制御するかを分子レベルで解明しています。また、甲状腺ホルモンの細胞内取り込みに関与する輸送体(Oatp)の機能や、視床下部における生物時計の役割についても、遺伝子発現解析と神経解剖学的アプローチを組み合わせて研究を進めています。
Kumi Yoshida教授の研究室は、花の青色発現に深く関与するアントシアニンのメタロコンプレックス形成とその細胞内メカニズムを解明することを主眼としています。特に、アルミニウムや鉄イオンの細胞内輸送・貯蔵機構、および液胞内pH制御が花色に与える影響を分子生物学的手法を用いて解明しています。また、食用マメ科植物に含まれるアントシアニンの構造と機能の多様性についても広く研究を展開しています。
後藤圭介教授の研究室は、回転炎上エンジン(RDE)を核とした次世代の高効率ロケットエンジンの開発を主眼としています。特に、幾何学的喉部構造の最適化や、真空環境下・飛行実験における安定燃焼特性の解明を進めています。また、MWSN(移動型ワイヤレスセンサネットワーク)を活用した都市センシング技術の開発も併行して行い、センサデータ収集の効率化に貢献しています。
Katsuaki Konishi教授の研究室は、リガンド修飾金ナノクラスターの構造・電子的性質の解明を柱としており、特に多 dentate リガンドを用いた特殊な幾何学的配置を持つ金クラスターの合成とその光学的・電子的特性の解明を進めています。特に、外殻に金原子を有する[core+exo]型クラスターの形成や、キラルなリガンドを用いた自己集合によるヘリカル構造の形成といった、新しいタイプのクラスター構造の創出に貢献しています。また、これらのクラスターが示す特異な円二色性や超原子的性質の解明を通じて、ナノ材料の設計原理の確立を目指しています。
Naoya Sakamoto教授の研究室では、ウイルス感染の回避機構に注目し、特にヘパチティスCウイルス(HCV)が宿主のインナート免疫応答をどのように回避するかを分子レベルで解明しています。NS5B や NS4B といったウイルスタンパク質が、STING や GBP-1 といった宿主因子と相互作用することで、インターフェロン応答を阻害するメカニズムを解明しています。また、リボゾームを用いたウイルスRNAの標的分解や、ウイルス複製の恒常化が宿主のインターフェロン応答を抑制する仕組みについても研究を展開しています。
Sameera教授の研究室は、計算化学を核として、遷移金属触媒を用いた複雑な有機反応のメカニズム解明を主眼としています。特に、人工力誘導反応(AFIR)法を用いた自動的反応パス探索により、予期しない反応経路の同定を可能にし、多成分反応や不斉反応における選択性の起源を解明しています。DFTやDFT/MMを応用した高精度なエネルギー的・構造的解析を通じて、触媒サイクル全体や遷移状態の詳細を明らかにしています。
京都大学に所属する北田一仁教授の研究室は、神経変性疾患、特にパーキンソン病の病態解明を主眼としています。α-シヌクレインの生体内蓄積をバイオマーカーとして評価する画像診断や、脳脊髄液のプロテオーム解析を活用した疾患の早期診断法の確立を目指しています。また、細胞接着機構や相分離(LLPS)のメカニズムを通じて、神経炎症や神経保護の分子機構の解明にも取り組んでいます。
Yoshida教授の研究室は、半導体レーザーの高効率化とビーム品質の向上を柱として、光子結晶を用いた新規な表面発光レーザーの開発を進めています。特に、ヒルベルト的でない相互作用を制御することで、大出力かつ高ビーム品質なCWレーザーの実現を目指しており、スマートモビリティやLiDAR技術への応用が期待されています。また、磁性体や酵素の物性・機能解明についても、核磁気共鳴や生化学的解析を用いて多角的な研究を展開しています。
Kusumi教授の研究室は、膜動態のナノスケール理解を目的として、単分子トラッキングやFCSを用いた生きた細胞内での膜分子の動きと相互作用を解明しています。特に、プラズマ膜におけるナノスケールの異質性やロイド相領域の形成、コレステロール依存的な膜ドメインの機能的役割に注目し、信号伝達のメカニズムを物理的・化学的視点から解明しています。近年の高時間分解能の単分子観察技術の進展を基盤に、膜の構造と機能の新しい統合的原則を提案しています。
Tamaki Nakano教授の研究室では、インプラント治療における長期的な安定性と美的な結果を実現するため、インプラント・アバットメント接続部の機械的特性や骨・歯肉の保存メカニズムに注目した生体力学的解析を進めています。特に、接続タイプ(外装・内装・テーパー接続)やインプラント間距離、アバットメント素材(ジルコニア・チタンベース)が骨吸収やパビラ形成に与える影響を、3次元有限要素解析や臨床画像解析(CBCT)を用いて解明しています。また、術後の機械的負荷に対する耐久性や、審美性を考慮したインプラント設計の最適化についても、ISO基準に準拠した静的負荷試験を実施しています。
中畑正樹教授の研究室では、超分子化学と高分子化学を融合させたスマート材料の開発を進めています。主にサイクロデキストリンとフェロセンなどのホスト・ゲスト相互作用を応用し、赤酸化応答性や自己修復性を示す水性ゲルを創出し、エネルギー効率の向上や長寿命化に貢献する材料の創出を目指しています。また、非共有結合による制御可能な接着や macroscale の自己集合構造の構築も重要な研究テーマです。
Eguchi教授の研究室は、天然物の全合成を核に、特に古細菌膜脂質や抗生物質など複雑な天然化合物の効率的かつステレオ選択的合成に注力しています。特に、McMurryカップリングを用いたマクロサイクル形成や、Juliaカップリングを活用したジエーテル・テトラエーテル脂質の合成戦略は、天然物の化学的・生物学的評価を可能にする基盤を提供しています。また、天然物の生合成機構解明や、キラル中心の精密制御、溶媒依存性のアトロピゾマーの立体化学的特徴の解明など、合成化学と物性・構造の融合的アプローチを展開しています。