東京大学、京都大学、大阪大学など日本QSトップ10大学の研究室情報です。
Saito教授の研究室は、光合成系の分子機構を解明するため、量子力学的手法と分子力学を融合したQM/MM計算を核として、反応中心の電子移動、プロトン伝達、金属クラスターの反応機構を高精度で解析しています。特にペイント・システムIIにおける水酸化反応と酸素発生機構、ならびに酸化還元反応に伴うプロトン移動のエネルギー的要因を解明しています。また、高分解能X線回折を用いた酸化物薄膜の構造解析も併行して行い、機能性酸化物の物性と構造の関係を解明しています。
Samrat Ghosh教授の研究室は、有機半導体材料としての共価的有機フレームワーク(COFs)やπ-ゲルを用いた新規光触媒材料の開発を主軸としています。可視光応答型の水素生成や過酸化水素の持続可能な光合成的合成に注力しており、材料の電子構造、電荷分離・輸送メカニズム、およびナノスケールの秩序性の制御を統合的に追求しています。特に、結晶性薄膜の作製やスケーラビリティを考慮した材料設計により、実用化に向けた基盤技術の構築を進めています。
福田克真教授の研究室では、ラマン分光法を応用した高感度・高分解能な生体分子イメージング技術の開発を主軸としています。特に、表面増強ラマン散乱(SERS)を活用した細胞内pHセンシングや、薬物の生きた細胞内動態を可視化するバイオオルソゴナルラマンイメージングの研究が進んでいます。また、レーザー強度を制御した共焦点蛍光イメージングによる分解能向上技術や、金属ナノ粒子を用いたナノスケールの分子診断技術の開発も行っています。
田口正輝教授の研究室は、単分子レベルでの電子輸送と分子デバイスの創出を柱とした分子エレクトロニクスを研究しています。特に、ナノポアと人工知能を融合したウイルス検出技術や、単一分子ジャンクションを用いた高感度な分子センシング技術の開発が目立ちます。また、分子の対称性や結合構造が電気的性質に与える影響を解明し、制御可能な分子回路の実現を目指しています。
Jun Takaya教授の研究室は、有機金属化学と触媒反応機構の理解を基盤とし、特にパルテインや銅を用いた新しい炭素酸化反応を展開しています。CO₂を効率的に利用した炭素酸化反応や、bis(boronate)化合物の合成、金属-金属結合を有する新規錯体の開発を通じて、持続可能な合成戦略の構築を目指しています。特に、pincer配位子や主族金属配位子を用いた精密な触媒設計により、反応性と選択性の両立を実現する研究が特徴です。
Qingxin Zheng教授の研究室は、廃棄物の持続可能なリサイクルを目的とした水熱処理技術に注力しています。特にリチウムイオン二次電池の正極材料やプラスチック・バイオマス混合廃棄物からのレアメタル・レアアース元素の効率的回収に、有機酸やグリシンを用いた環境に配慮した水熱抽出法を開発しています。また、PET/PE複合フィルムの同時物質的・化学的リサイクル技術の確立にも成功し、産業応用に向けた実用的ソリューションの開発を推進しています。
Norio Suzuki教授の研究室は、腎臓におけるエリスロポietイン(Epo)の生合成とその調節機構、特に腎臓の筋線維芽細胞様細胞(MF-REPs)が慢性腎疾患において果たす多様な役割に注目しています。Epoの非赤血球系機能や酸化的なストレスが腎疾患に与える影響についても、遺伝子発現制御やシグナル伝達の分子機構を解明しています。また、海洋生物由来のペプチドの生理的機能や、遺伝子改変マウスを用いた機能解析も行っています。
福井紀人教授の研究室では、ポルフィリンやペリレンビスイミドを基幹とするπ共有系分子の設計・合成を軸に、非平面的で機能性を示す新しい有機半導体材料の創出をめざしています。特に、ヘテロ原子の導入や骨格の融合反応によって分子のπネットワークを制御し、発光性・電荷輸送性・赤外応答性といった特異な物性を発現する分子系の開発が進められています。また、溶液プロセシングに適した安定性と再現性を持つ材料の創出も重要な研究テーマです。
Kira教授の研究室は、神経免疫疾患、特に多発性硬化症(MS)やネウロミエリンパチーの発症メカニズムとその遺伝的背景に焦点を当てた研究を推進しています。アジア型MS(視神経脊髄炎様MS)と西洋型MSの臨床的・画像的特徴とHLA遺伝子との関連を解明しており、特にDRB1*1501やDRB5の多型と疾患の関連を明らかにしてきました。また、脳脊髄液におけるサイトコイントシン・ケモキネトニックプロファイルの疾患特異的差異や、抗AQP4抗体、抗NF155抗体、HTLV-Iウイルス負荷の解析を通じて、疾患の分類と病態理解を深めています。
伊染保教授の研究室は、海洋プラスチック汚染の実態解明を目的として、世界中の海洋環境におけるマイクロプラスチックの分布・動態を、数値シミュレーションと大規模な現場調査を融合して研究しています。特に北太平洋や南極海域を対象にした長期間にわたるトランスオーシャン調査により、マイクロプラスチックの時間的・空間的変動を定量的に明らかにしています。また、海洋環境中でのマイクロプラスチックの蓄積と分解挙動、特に個人ケア製品由来のマイクロビーズの動態についても詳細に分析しています。
伊藤義光教授の研究室は、有機合成化学と超分子化学の分野において、特に金属触媒を用いた新規反応開発と、分子の自己集合による機能性自己組織化構造の創出を主な研究テーマとしています。特にインジウム(III)塩を用いたConia-ene反応や、チタンを用いたα-トリフルオロメチル化反応、さらにはキラルな超分子ポリマーの形成など、反応の効率性と構造制御の両立を追求しています。また、形状不相溶性を克服する新しい自己組織化メカニズムの解明にも貢献しており、スマート材料の設計に貢献する基盤技術の確立を目指しています。
稲熊博文教授の研究室は、音声認識と機械翻訳を統合したエンドツーエンドのスティーブス翻訳(Speech Translation)に焦点を当てており、特に多言語環境下での効率的で高精度なモデル設計を追求しています。特に、共通のモデルアーキテクチャを用いて複数言語を同時に処理するマルチリンガル学習手法や、低資源言語への適応技術の開発が特徴です。また、リアルタイム性を重視したストリーミング処理の低遅延化や、外部言語モデルを活用したファージョン手法の工夫も進んでいます。
福本聡史教授の研究室は、生体機能と細胞間相互作用に着目した多様な生命現象の解明を進めています。特に、腸管運動の神経制御や歯の形成における上皮・間胚葉相互作用、神経成長因子のシグナル伝達機構について、分子・細胞生物学的手法を用いて詳細に解析しています。また、幹細胞の多能性や金属接合技術を応用した生体材料開発の分野にも広がる、基礎医学と工学の融合的研究が特徴です。
Sakoda教授の研究室は、インフルエンザウイルスの発生・伝播メカニズムや、家禽における高病原性鳥インフルエンザの流行制御を主な研究分野としています。特に、野生鳥類を介したウイルスの拡散経路や、ウイルスの遺伝的多様性の解析を通じて、予防・早期対応のための科学的根拠を提供しています。2010-2011年の日本におけるH5N1ウイルス再導入の疫学的・分子的解析は、その代表的成果です。
Michiko Yuki教授の研究室は、高齢者における筋萎縮(サルコペニア)や栄養状態の管理に注力しており、特に脳血管障害後の回復支援や在宅療養における家族の薬物暴露リスクにも関心を寄せています。地域に住む高齢者の健康維持を目的に、栄養状態のスクリーニングや非薬物的介入の有効性を検証する研究が中心です。また、サルコペニアの疫学的特徴やサルコペニアと生活習慣・心理的要因の関連についても、地域社会を対象とした実地的アプローチをとっています。
福島賢治教授の研究室では、量子色力学(QCD)の高温・高密度な状態であるクォーク-グルーオンプラズマの性質を、場の理論的手法と格子QCDの結果を統合して解明しています。特に、強い磁場やトポロジカルな変動がクォークの手対称性に与える影響、およびそれに関連する「ねじれ磁気効果」(Chiral Magnetic Effect)のメカニズムを、PNJL模型を用いて詳細に分析しています。また、相転移の性質や色超伝導、非一様相の可能性など、QCD相図の複雑な構造の理解を目指した理論的研究が中心です。
Akihiro Shimizu教授の研究室は、有機半導体材料の電子構造とその応用に焦点を当てた先端的研究を展開しています。特に、キノジンジメタン骨格やフェナレンイル骨格を有する新しいスピン状態を示す有機分子の合成とその多体励起状態の制御を主なテーマとしています。分子内・分子間の共有結合的相互作用とπスタック構造の協調的発現が、低エネルギー吸収や強い反磁性的性質をもたらす仕組みを解明しています。また、ナノスケールの半導体デバイスにおける機械的応力制御技術(LMC)の開発を通じて、次世代CMOS技術の性能向上にも貢献しています。
Yoshiro Saito教授の研究室は、セレン代謝と酸化的ストレスの関連を解明するため、セレノプロテインPの構造・機能とその生理的役割に焦点を当てた研究を行っています。特に、セレノプロテインPがリン脂質過酸化物を還元する酵素活性を持ち、セレンを標的臓器へ輸送する役割を果たすことを明らかにしてきました。また、細胞死の種類(アポトーシスとネクローシス)の分岐メカニズムや、セレン欠乏が細胞生存に与える影響についても、T細胞系を用いた詳細な細胞生物学的アプローチを展開しています。
UCHIDA教授の研究室は、脳の血管境界である血球脳関門(BBB)や血脳脊髄液関門(BCSFB)に存在する輸送体・受容体の絶対的発現量を、定量的タンパク質体解析技術を用いて高精度に解明しています。特に、ヒトとラットの比較解析を通じて、薬物送達や栄養因子の脳内供給に関与するタンパク質の種間差を解明しており、神経疾患やアルツハイマー病における血管機能障害のメカニズム解明にも貢献しています。
Gotoh教授の研究室は、肺や腎臓の上皮細胞の発生・機能を解明するため、ヒト induced ippotent stem cells (hiPSCs) や胚性幹細胞を用いた3次元培養系を駆使した臓器オルガノイド技術の開発を柱としています。特に、気道や肺胞上皮細胞の特異的マーカーの同定と、それらを用いた機能的で再現性のある in vitro モデルの構築が進んでいます。これにより、線維化や炎症性肺疾患の病態解明や薬剤スクリーニングが可能となり、再生医療や疾患モデルの確立に貢献しています。