東京大学、京都大学、大阪大学など日本QSトップ10大学の研究室情報です。
福形孝二教授の研究室は、乱流摩擦抵抗低減を主眼とした流体力学的研究を展開しています。特に、乱流境界層やチャネル流れにおける摩擦力の成分分解や、超撥水表面、壁面吹き出し・吸引、可撓性表面などの制御手法によるドラッグレダクションのメカニズムを、直接数値シミュレーション(DNS)や機械学習を用いて解明しています。近年では、非線形モード分解や深層学習を応用した流れの可視化・推定技術の開発にも進んでおり、実験的制約を考慮した粒子画像ビジョメトリ(PIV)データからの速度場推定も実施しています。
Pham Nam Hai教授の研究室は、半導体における電子状態とスピンの制御を核として、新規半導体材料の開発とそのスピン・トロニクス応用を追求しています。特に、窒素ドープガリウム砒素量子井戸や鉄ドープインジウム砒素を用いたn型フェロ磁性半導体の創出、ならびにトポロジカル絶縁体や半ヘスラー合金を用いた巨大スピンホール効果の実現に注力しています。これらの研究は、次世代の超低消費電力スピンデバイス、たとえばスピンFETやSOT-MRAMの実現に貢献する基盤を提供しています。
Hiroyuki Seimiya教授の研究室は、がん細胞の死滅機構とテロメアの維持機構に注目し、抗癌薬誘発アポトーシスやテロメラーゼ阻害の分子機構を解明しています。特に、JNK経路やICE/CED-3様プロテアーゼの活性化、タンカラーゼ1によるTRF1のADPリボシル化がテロメア長の制御に与える影響を解析しています。また、緑茶に含まれるエピガロカテキンガレート(EGCG)の効果を応用した新規テロメラーゼ阻害剤の開発や、脂肪酸代謝酵素ACSががん細胞生存に不可欠であることも明らかにしています。
Arpita Varadwaj教授の研究室は、分子内および分子間の非共有結合相互作用に注目し、特にハロゲン結合やポスト遷移金属結合、窒素族元素結合(pnictogen bond)など、電子状態に基づく新しい結合種の発見と定義を主眼としています。特に、フッ素原子の外側表面に局在する正電荷的サイトが、他の分子の負電荷部位とどのように引力的相互作用を形成するかを、高精度の電子構造計算(DFT、MP2、CCSD(T)など)を用いて解明しています。また、C60カイロ内に閉じ込められた水分子の挙動や、孤立した負性ルイス塩基同士の相互作用など、極めて微細な電子的相互作用のメカニズムを量子化学的手法で解明しています。
Watabe教授の研究室は、胎児発生における中胚葉形成と血管幹細胞の分化メカニズムに注目し、TGF-βスーパーファミリーのシグナル伝達が血管形成や内皮-間葉様移行(EndMT)に与える影響を解明しています。特に、activinやBMP、TGF-βが幹細胞由来内皮細胞の増殖・移動・形態変化に及ぼす作用を分子レベルで解析しており、がん微小環境におけるCAFsの形成や腫瘍進展のメカニズムにも関与する可能性を追求しています。
タバラ教授の研究室は、糖尿病や高血圧をはじめとする代謝性疾患の遺伝的素因を解明することを柱としています。特にアフリカ系・アジア系集団を対象としたG6PD欠損症とHbA1cの関連や、日本人集団における2型糖尿病関連遺伝子の同定が顕著です。また、加齢に伴う筋機能低下や骨密度に影響を及えるAGEの蓄積に関する疫学的・臨床的検証も進めています。
Hirokazu Toju教授の研究室は、菌類の多様性と生態的役割に焦点を当て、特に土壌中の菌類と植物の相互作用をDNAバーコーディングや次世代シーケンシングを用いて解明しています。主な研究対象は、菌類の系統的多様性、共生ネットワークの構造、およびその生態的・進化的意義です。特に、菌類と植物・昆虫の共生系における地域的変異や、環境適応のメカニズムを系統的・分子的アプローチで解明しています。
Motonari Uesugi教授の研究室は、転写制御の分子機構と再生医療への応用を柱としたバイオメディカル研究を推進しています。特に、転写活性ドメインの構造的・機能的メカニズムをNMRや生化学的手法を用いて解明しており、p53やVP16の活性ドメインがターゲットタンパク質と結合する際の構造変化を解明しています。また、ヒト多能性幹細胞を用いた心筋細胞への効率的誘導や、小分子スクリーニングを活用した創薬的アプローチの開発も進めています。
阿部彰教授の研究室は、ゼオライトを基盤とする機能性金属ホスホネート触媒や金属イオンを担持したフレームワーク材料を対象に、分子レベルでの反応機構解明を主眼としています。特に、Zn²⁺やCuイオンをゼオライト内に封入した系を用い、メタンやNOxの活性化、酸化還元反応における電子状態の制御を精密に解明しています。また、光誘起遷移やスピン状態の制御による新規金属種の生成にも成功しており、触媒反応の基盤を成す原子レベルのメカニズム解明が進んでいます。
Hattori教授の研究室は、大気中における硫黄化合物の同位体比を精密に測定し、その変化から大気化学反応のメカニズムや環境変動の痕跡を解明する研究を展開しています。特に、炭酸カルボン酸化硫黄(OCS)の同位体比を用いた光分解反応の理論的・実騣的解析や、氷核に閉じ込められた硫酸の酸素同位体比から大気酸性化反応の変化を解明する研究が特徴です。近年では、同位体比の変化が気候変動や火山噴火の痕跡を示す手がかりにもなるとされ、地球システムの理解を深める基盤的研究を進めています。
Soo-Hyun Joo教授の研究室では、液体金属デアロイリングを核とする新規なナノ構造材料の創出をめざしています。主に高エントロピー合金や金属ガラスを用いた3次元連続多孔性材料の設計・合成に注力しており、ナノスケールの微細構造制御と物性の向上を実現しています。特に、エネルギー変換・貯蔵、触媒、センシング応用に向けた高機能材料の開発が主な研究方向性です。
Sunmyon Chon教授の研究室では、初期宇宙における超大質量ブラックホールの形成メカニズムや、原始星の形成過程を高精度な3次元放射流体力学シミュレーションを用いて解明しています。特に、金属量や宇宙背景放射の影響が原始星形成に与える影響、および直接崩壊メカニズムによる超大質量星の形成条件を追求しています。また、銀河の周囲環境がブラックホール種子の形成に与える放射線的影響についても、宇宙論的スケールでの数値実験を展開しています。
Ohno教授の研究室は、皮膚のバリア機能を形づくる膜脂質、特にシアー酸化型セラミド(acylceraamide)の生合成機構を解明する研究を主軸としています。特に、CYP4F22やPNPLA1といった関与する酵素の同定とその機能解明を通じて、皮膚障害や先天性 ichthyosis の分子メカニズムを解明しています。また、長鎖脂肪酸の延伸酵素(ELOVL)の基質特異性やスフィンゴリピッド代謝のメカニズムについても、生化学的・代謝的アプローチで解明を進めています。
S. Seki教授の研究室は、トポロジカルなスピン構造と多機能性を併せ持つ新規量子物質の発見と物性解明を主眼としています。特に、磁性と電気分極の相互作用を示す磁電的スカイム粒子や多フェロ酸化物におけるスピン秩序と電気分極の相関を、高精度な電子線・中性子回折・磁気測定を用いて解明しています。また、反強磁性体におけるスピン波を用いたスピン電流生成のメカニズムや、ナノスケールのスピンカオス構造の制御にも注力しています。
Francesco Di Filippo教授の研究室は、一般相対性理論の特異性問題や情報パラドックスに挑む非特異核を持つブラックホールの幾何構造と安定性を、量子重力の視点から探求しています。特に、内視界における質量の不安定化や、非摂動的バックレアクションの重要性を強調し、物理的ブラックホールの記述の整合性を検証しています。また、高次曲率補正やローレンツ対称性の破れを伴う重力理論におけるトラッピングホライズンの定式化にも取り組んでいます。
Yu Shimojo教授の研究室では、レーザーと生体組織の相互作用を計算シミュレーションを用いて定量的に解析する先進的な研究を行っています。特に、皮膚のメラニン小胞へのダメージ閾値や熱傷損傷の予測モデルを構築し、レーザー治療の安全性と有効性を予測・最適化する計算臨床試験(in silico clinical trials)の基盤を確立しています。この研究は、臨床応用を加速させる革新的なレーザー医療デバイスの開発に貢献しています。
Mizuguchi教授の研究室は、構造生物学とバイオインフォマティクスを融合した研究を推進しています。主にタンパク質の構造相同性解析やアラインメント技術の開発を通じて、遺伝子機能の解明や新薬候補のスクリーニングを支援するデータベース(HOMSTRADやCAMPASS)を構築。機械学習を活用した薬物動態予測モデルの構築や、遺伝子ターゲットの優先順位付けを支援する統合型データウェアハウス(TargetMine)の開発も行っています。これらの研究は、創薬の早期段階での失敗リスク低減と、疾患メカニズムの解明に貢献しています。
Hiroaki Hiraiwa教授の研究室は、心不全および敗血症に伴う循環動態異常のメカニズム解明を柱としており、特に心臓と脾臓の相互作用(カーディオスプライニック・アックス)や、心不全における予後予測のためのバイオマーカー(アミノ酸プロファイリング、脾臓サイズなど)の同定を進めています。敗血症性心筋症の病態や右心機能不全の予後意義についても、画像診断と臨床的バイオマーカーの統合的解析を実施しています。これらの研究は、重症心不全や敗血症の患者に対する個別化医療の実現に貢献することを目的としています。
本研究室では、卵巣がんの転移と耐性形成のメカニズムに注目し、特に腹膜播種の過程で顕れる腫瘍細胞と周囲微小環境(mesothelial細胞、免疫細胞など)のクロスティーク、および上皮間胚葉移行(EMT)やCXCR4/SDF-1軸、DPPIV(CD26)の機能ががんの進行に与える影響を分子細胞生物学的手法を用いて解明しています。特に、化学療法耐性の獲得や侵襲能の上昇に関与するシグナル伝達経路や、プラズマ治療による耐性がん細胞への効果についても実験的・臨床的アプローチを併用して研究を推進しています。
山下芳久教授の研究室は、口腔内微生物と口腔・全身疾患の関連を解明する研究を主軸としています。特に、虫歯や歯周病の発症に寄与する口腔細菌(例:ストレプトコッカス・ムタニス)の病原性機構や、唾液マイクロバイオームの変動と疾患リスクの関連を分子生物学的・臨床的アプローチで解明しています。近年は次世代シーケンシングを活用した大規模なマイクロバイオーム解析や、糖アルコールが発がん性物質の産生を制御する可能性についても探求しています。