東京大学、京都大学、大阪大学など日本QSトップ10大学の研究室情報です。
小林誠教授の研究室は、主に森林生態系のダイナミクスに注目し、特に火災後の生態系回復や土壌炭素循環、植物の適応戦略を解明することを目的としています。特に、火災によって生じるチャコールの土壌中での役割や、寒冷帯・高山・極域生態系における一次成立過程の制御要因を、植物の拡散と土壌発達のバランスから解き明かしています。また、冬の気候変動が土壌栄養循環に与える影響や、種の生育時期の違いが生態的ニッチ分離にどう寄与するのかも重要な研究テーマです。
Ryo Yamaguchi教授の研究室は、進化生物学と宇宙物理学の二面性を持つ独自の研究を展開しています。一方では、地理的隔離下での遺伝的分岐や遺伝的不適合性の蓄積がどのように種分化を促すかを、単純な確率的モデルを用いて解明しており、特に環境変化や移動の履歴が種形成に与える影響を重視しています。他方で、地球磁圏のサブストームやプラズマシートの流れ変動といった宇宙天気現象のエネルギー蓄積・放出プロセスを、衛星観測データを基にモデルフリーな分析で解明しています。
Masuda教授の研究室は、電気化学的界面における物質の挙動を高精度で解明するための原位置・界面分光法(XAFS、XPS、EQCM、EC-AFMなど)を駆使し、燃料電池や二次電池の効率化に不可欠な触媒・界面反応機構を解明しています。特にプラチナ・セリウム酸化物系触媒における酸素還元反応の活性向上機構や、イオンターフェースのスケーリング挙動、リチウムイオン電デポジションの界面反応を対象としています。高分解能・高精度な界面分析技術の開発と、その応用を通じて、次世代エネルギー材料の設計に貢献しています。
本研究室は、金属鉱石の効率的リサイクルと資源循環を実現するため、浮遊選別技術の高度化に注力しています。特に、深部鉱山由来の複雑な硫化鉱石や都市鉱山由来の廃棄物から銅・亜鉛・鉛などの有用金属を高品位な濃縮精鉱として回収するプロセスの開発を進めています。EDTAを用いた鉛化合物の除去や、ゼロバリントン鉄を用いた金属回収技術の統合的応用も特色であり、環境負荷低減と資源効率の両立を目指しています。
佐口 勝久教授の研究室は、再生医療、バイオプロセス工学、 cultured meat(培養肉)の分野において、細胞シート技術とバイオリアクターを応用した3次元生体組織の構築を主軸としています。特に、酸素や栄養分の供給を効率的に行うためのマイクロチャネルを有するパフォーションバイオリアクターや、セルフアセンブリによるスケーラブルな組織形成技術を開発しています。また、動物由来素材を極力排除したセルフスターリングな培養肉の実現にも貢献しています。
岡井順教授の研究室では、消化器がん、特に食道がんや胃がんを対象とした治療戦略の最適化を目的としており、特に術前化学療法後の病理的完全感受性(pCR)や無病生存期間(RFS)が総生存期間(OS)の代替指標として有効かどうかを統計的手法を用いて検証しています。臨床試験の期間短縮に貢献するような妥当な代替マーカーの特定を目指しており、個別レベルおよび試験レベルでの相関関係を精密に評価する新規統計手法の開発も進んでいます。
大和田知彦教授の研究室は、主に有機化学分野に属し、特に窒素含有環状化合物の反応性や電子状態の制御に注力しています。N-ニトロソアミンのN-NO結合の異性化挙動や、立体的に無偏位な環状系における軌道制御によるステレオ選択性の機構解明が中心的研究テーマです。また、生体分子認識や高感度センサー開発にも応用を広げており、ポリマー基盤の蛍光温度計の開発など、応用化学的応用も行っています。
山本正宏教授の研究室は、偏微分方程式の解の安定性解析や逆問題の解法に焦点を当てており、特にカルレマン推定法を用いた境界制御や逆問題の数値解法の研究が中心です。熱伝導や波動方程式を対象とした初期値・境界値問題の逆解析において、安定性評価と正則化手法の構築を進めています。また、分数拡散方程式やラプラス方程式のコーシー問題に対する数値的・解析的アプローチも展開しており、数学的・工学的応用の両面から理論的基盤を強化しています。
岡部繁夫教授の研究室では、シナプス形成と機能の細胞内機構に焦点を当て、神経細胞におけるシナプス小胞、PSD-95、Homerなどのシナプス密度タンパク質の動態とその制御を、時間分解能の高い顕微鏡技術を用いて解析しています。特に、アクチンや微小小管の骨格動態、NMDA受容体のスプライシングバリアントの細胞膜発現、およびCa²⁺シグナルがシナプス形成に与える影響を解明しています。神経可塑性の分子基盤を、細胞生物学的・生化学的・画像解析的アプローチで統合的に解明することを目指しています。
稲岡教授の研究室は、寄生虫やがん細胞の嫌気的代謝に特徴的なミトコンドリア呼吸鎖系を標的にした新規薬剤の開発を主眼としています。特に、アスカリス・スムのNADH-フマル酸還元酵素系やトキソプラズマ・クローゼのジヒドロオロチートデヒドロゲナーゼ、マラリア原虫のMQO酵素など、寄生虫特有の代謝経路を標的にした創薬研究が進んでいます。天然化合物のスコフォルンオンを基盤とした酵素阻害剤の構造活性相関や結晶構造解析も実施しており、標的特異性の高い新薬創出を目指しています。
Takekawa教授の研究室は、細胞がストレスにさらされた際のシグナル伝達機構に焦点を当てており、特に酸化的ストレスやエンドプラズミックリティクルスストレスに対する細胞の応答を分子レベルで解明しています。MAPキナーゼ経路やストレス顆粒の形成制御、O-GlcNAc修飾によるタンパク質機能調節のメカニズムを解明することで、がんや神経変性疾患を含む疾患の発症機構の解明を目指しています。
Philip Taranto教授の研究室は、量子熱力学と非平衡量子系の時間的構造に焦点を当てた先端的研究を展開しています。特に、純粋な量子状態の準備に必要な熱力学的資源や、情報・複雑性が熱力学に与える影響を解明しており、第三法則とランドアウアーの原理の接点を理論的に解明しています。また、非マーカフ過程における記憶効果の構造や、測定器に依存する量子マーカフ順序の概念を新たに提唱し、量子プロセスの記憶長や記憶強度の明確な定式化を進めています。
Kato教授の研究室は、脳の微細構造変化を高精度に可視化する多パラメトリック画像診断技術の開発を柱としています。特に、3D-QALASやNODDIを用いた脳全体の定量的画像解析、ならびに画像コントラストの最適化と画像認識技術の統合による疾患の原因解析を進めています。また、脳腫瘍や神経炎症性疾患の早期診断を支援する画像支援技術の開発も実施しており、臨床応用に向けた実用的で革新的な研究が特徴です。
Teramura教授の研究室は、細胞表面修飾技術を応用した医療技術の開発を主眼としています。特に膵島細胞の表面にPEG-リン脂質を組み合わせた超薄膜を形成することで、移植後の免疫拒絶反応や凝固反応を抑制する画期的な技術を開発しています。また、DNAハイブリダイゼーションを用いたセルラベル付きマイクロカプセル化技術の開発を通じて、生体適合性の高いバイオアートピーリアス・パンクレアスの実現を目指しています。
Tatsushi Toda教授の研究室は、神経変性疾患、特にパーキンソン病やフクウヤマ型先天性筋ジストロフィー(FCMD)をはじめとする遺伝性神経疾患の遺伝的・分子メカニズムを解明することを主眼としています。BDNF遺伝子の多型とパーキンソン病の関連、およびFCMDの原因遺伝子「フクチチン」の同定を通じて、疾患の発症メカニズムの解明を進めています。また、多系統性 atrophy(MSA)におけるαシヌクレインの初期凝集様態の解明にも注力しており、神経病理学的変化の初期段階の解明を目指しています。
Tatsuya Matsushima教授の研究室は、ロボットが複雑で変動の大きい現実世界の環境において安全かつ柔軟に動作できるようにするため、強化学習やメタラーニングを活用したデータ駆動型のロボット制御手法を開発しています。特に、実践的で高コストな環境データ収集を最小限に抑える「デプロイメント効率」の概念を提唱し、限られた実行回数での学習と実装の妥当性を追求しています。また、家庭内での清掃タスクなど、人間と共同で動作するサービスロボットの実用的で信頼性の高いシステム実装にも注力しています。
伊賀教授の研究室は、幹細胞生物学と発生工学を基盤とし、再生医療の基盤技術の確立を目的としています。特に、iPSC由来の間葉系幹細胞を用いた神経crest由来の軟骨形成能を有する細胞のスクリーニングと分化誘導法の開発に注力しています。また、骨形成異常疾患や筋管形成の分子機構解明を通じて、疾患モデルを用いた創薬スクリーニングや、組織工学的軟骨球の構築にも取り組んでいます。
Koji Hashimoto教授の研究室では、一般相対性理論と量子場理論の接点を統合的に探る理論的研究が進められています。特に、ブラックホールのホライズン付近における力学的不安定性や量子もつれの性質を、AdS/CFT対応やホログラフィックQCDを用いて解明しています。また、深層学習を用いたデータ駆動型のホログラフィー構築や、ゲージ理論における量子複雑性の時間発展など、現代的な理論物理学の最先端をカバーしています。
Kenta Terai教授の研究室は、細胞内シグナル伝達の動的解析を目的とした遺伝子組み込み型FRETバイオセンサーの開発と応用に注力しています。特にAMPキナーゼ(AMPK)の生体内での活性化機構や、DNA損傷応答、血管形成・回帰、がん微小環境におけるプロスタグランジン産生の制御を、リアルタイムイメージング技術を用いて解明しています。これらの研究は、代謝疾患やがんの治療戦略の開発に貢献する基盤を提供しています。
Asakura教授の研究室では、触媒反応における遷移金属の電子状態と局所構造の動的変化を、時間分解型オペランドXASを核に、高精度な分光測定と理論計算を融合して解明しています。特に、Rh/Al₂O₃触媒における酸化還元反応のメカニズムやランタノイド酸化物の電子配置とdバンド構造の相関関係を、XANESの局所電子状態の精密解析によって明らかにしています。反応条件下での物質の動的挙動をリアルタイムで捉えることで、触媒の機能理解に貢献する革新的な分光技術の開発が進められています。