東京大学、京都大学、大阪大学など日本QSトップ10大学の研究室情報です。
広田泰悟教授の研究室では、ラグランジュ型粒子法、特にMoving Particle Semi-implicit(MPS)法を基盤として、自由表面流や多相流、特に沸騰を伴う相変化流の高精度・高安定性シミュレーションに注力しています。特に、粒子分布の不規則性に起因する誤差を是正する補正行列手法や、境界条件の正確な扱い、圧力Poissin方程式の高速並列解法の開発が主な研究テーマです。数値誤差の蓄積機構の理論的解明と、実用的安定化戦略の構築も重要な柱です。
Pratik Nandy教授の研究室は、量子多体系の非平衡動的挙動と量子もつれの構造に注目し、特にSachdev-Ye-Kitaev(SYK)模型をはじめとする量子スピン系や非エルミート系のスピン系を理論的・数値的に解析しています。Krylov部分空間法を用いた演算子成長の記述や、Lanczos係数・Krylov複雑度を用いた量子もつれの定量的評価が中心であり、量子もつれのスケーリングや量子情報の消失(スクラッチイング)のメカニズムを解明しています。また、非エルミート系における特異値分解に基づくトライデゴナリゼーション手法の開発も進めており、量子カオスと量子重力の接点を解明する理論的枠組みを構築しています。
ベンジャミン・デュシャルン教授の研究室は、フェロエレクトリック素子やフェロ磁性材料の非線形な電磁機械的挙動を、物理的現象に即した定式化に基づいてモデル化することを柱としています。特に、誘電ヒステリシスや磁気ヒステリシの周波数依存性、局所的損失分布の高精度な予測に注力しており、分類性能の向上と非破壊評価技術の開発を目的としています。近年では、波力からのエネルギー回収に応用可能なピエゾエレクトリック素子の最適化や、可視光応答型フェロエレクトリックのモデル化にも進んでいます。
Norihito Nakamichi教授の研究室では、植物の体内時計がどのようにして昼夜リズムを制御しているかを、遺伝子発現のスイッチング機構に着目して解明しています。特に、PRR(Pseudo-Response Regulator)ファミリーの転写因子が、CCA1/LHYを含む主要な時計遺伝子の発現を抑制することで、リズムの周期を調整するメカニズムを分子レベルで解明しています。また、光周期に応じた花の咲き始めを制御するCO遺伝子のリズミカルな発現にも、PRRファミリーが関与していることを明らかにしています。
阿部隆史教授の研究室は、泌尿器がんの治療における外科的アプローチと長期予後に関する革新的な研究を推進しています。特に膀胱がんにおける根治的膀胱切除術の合併症予測要因や、転移巣切除術による長期制御の可能性を解明しており、リンパ節郭清の意義や尿路分流術式の長期的影響についても詳細に分析しています。また、高齢非小細胞肺癌患者を対象とした化学療法の最適化に関する臨床試験を通じて、治療成績の向上に寄与する治療戦略の確立を目指しています。
西岡淳教授の研究室では、北太平洋の亜寒帯域における鉄の供給メカニズムとその生物地球化学的影響を、海洋化学的・物理的プロセスの観点から解明しています。特に、オホーツク海中層水や北太平洋中層水を介した鉄の輸送と、それが表層の栄養塩豊富な水域を維持する役割に注目しています。鉄の供給が春のプランクトンブloomを制御する仕組みや、鉄の形態(溶解・粒子状・ラビリス型)の変化が生態系に与える影響について、長期観測と実験的アプローチを組み合わせて研究しています。
Taichi Hara教授の研究室は、細胞内のたんぱく質分解機構と細胞周期調節の分子メカニズムを解明することを主眼としています。特に、オートファジーの開始を制御するULK1/FIP200複合体や、細胞周期にかかわるp27キヌーゼのプロテアソーム分解機構の解明が進んでいます。また、神経変性疾患に関連する膜タンパク質の誤折りたたみとER関連分解(ERAD)のメカニズムについても、PMP22の変異体を用いた研究を展開しています。
高橋秀利教授の研究室では、マイクロ・ナノ加工技術を応用したセンサーや医療支援デバイスの開発を主軸としています。特に、圧力センサーや微小力測定技術を用いた生体応用デバイスの開発が進んでおり、昆虫の歩行力学の計測から手術支援システムの力覚フィードバックまで、多様な分野に応用可能な高感度・高精度なセンシング技術の創出を目指しています。
Kawaguchi教授の研究室は、結腸癌からの肝転移(CLM)の予後予測と治療戦略の最適化を目的とした多施設共同研究を推進しています。特にRAS・TP53遺伝子変異の組み合わせが再発リスクに持続的に影響することを解明し、再発-free生存期間の動的予測(conditional RFS)の有効性を示しています。また、蛍光色素を用いたリアルタイム肝動脈・門脈領域の可視化技術の開発を通じて、解剖的切除の精度向上にも貢献しています。
Hayashi教授の研究室は、神経画像法を用いた脳の構造・機能・回路の解明を柱とし、特にfMRIやdMRIを活用した脳の微細構造と機能的可塑性の関係を解明しています。ターゲットとなる疾患としてニコチン依存症やパーキンソン病に注目し、神経刺激法(TMS)や幹細胞治療の神経生物学的基盤を非侵襲的画像技術で解明しています。また、ヒトの脳構造と非ヒト霊長類の神経生物学的類似性を比較することで、臨床応用に向けた基盤を構築しています。
Ken Albrecht教授の研究室では、カルバゾールを核とする高分子的構造を有するジンドリマーの新規合成とその機能性を追求しています。特に、酸化還元特性、光物性、金属錯体形成能を制御した分子設計により、有機エレクトロニクス分野、特にOLEDやLECsにおける高効率・高安定性発光材料の開発を進めています。また、ジンドリマーの世代増加に伴う構造・性質の相関関係を解明し、発光効率や熱安定性の向上を実現しています。
横川正宏教授の研究室は、画像診断の高度化を目的として、超高解像度CTや深層学習を活用した肺がんの病態評価に注力しています。特に、肺腺がんの侵襲性予測や治療反応の非侵襲的評価において、画像所見と病理所見の照合を進め、臨床応用に直結する画像診断の精度向上を目指しています。また、RECISTに代わる新たな評価基準としてのPERCISTの有効性についても革新的な知見を提供しています。
Atsutomo Nakamura教授の研究室では、酸化物半導体やペロフスカイト系材料を対象に、微小スケールでの不純度や不完全性が材料の力学的性質に与える影響を、ナノインデンテーションや第一原理計算を組み合わせた先進的な実験的手法で解明しています。特に、結晶内の不履歴(dislocation)の動きとその制御が、材料の延性や機能的特性に与える影響に注目しており、ナノスケールでの塑性変形のメカニズムを解明しています。また、光励起状態下での不履歴行動の制御(photoindentation)や、不純物の選択的配列によるナノワイヤーの周期的形成など、次世代の機能性材料設計に資する基盤技術の確立を目指しています。
佐藤幸平教授の研究室では、ペプチドを基盤とした自己組織化ナノ構造の設計と制御を柱に、生体機能を再現するスマートナノ材料の開発を進めています。特に、細胞に信号を伝える機能を内蔵したスーパーマルチスケールナノ構造や、ナノスケールの水透過チャネルの創出が目立ち、生体適合性と機能性を両立する新規材料の創出を目指しています。また、キラル性や液体結晶性を制御した分子設計を通じて、精密な自己組織化機構の解明にも貢献しています。
V. Ryzhii教授の研究室では、グラフェンをはじめとする2次元材料を用いた次世代エレクトロニクス・フォトンイクスデバイスの理論的基盤を確立することを目的としています。特に、光励起や電圧駆動による準粒子系の非平衡状態制御、およびその応用としてのテラヘルツ波発生・検出デバイスの設計に注力しています。プラズモン波の制御や、電子・ホールプラズマの冷却・励起状態の制御といった基礎的現象の解明も重要な研究テーマです。
Jiuhao Ge教授の研究室では、非破壊検査技術の高度化を目的として、渦電流法を応用した欠陊検出技術の研究が進められています。特に、複雑な亀裂形状や腐食欠陊の高精度な評価を可能にする、回転渦電流法やパルス渦電流法、ACFM(交流電場測定)技術の応用が中心です。信号処理手法や特徴量抽出法を組み合わせることで、表面・非表面欠陊の分類や深さ評価をリアルタイムで実現する技術開発が行われています。
王守耀教授の研究室は、次世代自動車の普及に伴うリチウムイオン電池やニッケル水素電池のライフサイクル管理に注力しています。特に、中国やモンゴルを含むアジア諸国における電気自動車・ハイブリッド車の廃棄予測とリサイクル・リユースの最適化を柱としています。環境負荷低減と資源循環の両立を図るため、廃棄電池の環境影響と経済性の両面を分析するライフサイクルアセスメント手法の構築が主な研究テーマです。
Kazuhiro Abe教授の研究室は、膜タンパク質の構造と機能解明を柱として、特にトランスポーター・ポンプの三次元構造とその生理的役割に注力しています。ATP11CをはじめとするP4-ATPアーセスフラッパーの構造的メカニズムや、胃酸分泌に関与するH⁺,K⁺-ATPアーセスの阻害機構の解明が進んでいます。電子線結晶構造解析や低温電子顕微鏡(cryo-EM)を駆使した高解像度構造解析が特徴です。
李俊杰教授の研究室は、がん治療を標的にしたスマートなナノ医療デバイスの開発を主軸としています。特に、腫瘍微小環境に応じて機能を発現するポリマーべシクル型ナノリアクターを設計し、体内での選択的反応と効率的な薬物活性化を実現しています。酸化ストレス誘導や酸素供給による低酸素状態下での効果的治療も目指しており、がん治療の精度と効果を飛躍的に高める新規ナノ戦略の構築を目指しています。
Megumi Yatsushiro教授の研究室では、電子系の多様な自由度(スピン、電荷、軌道、磁気モーメントなど)の相関が生じる非代替的電子秩序状態に注目し、多極モーメントの統一的記述に基づいた物性の理解を進めています。特に、磁気モーメントのトロイダル成分や奇性パリティを持つ多極秩序が示す新奇な磁気・電気的性質や、非線形輸送・NMR/NQRのスペクトルに及ぼす影響を理論的に解明しています。空間反転と時間反転の両対称性が破れた系における新規物性の解明が、主な研究テーマです。