東京大学、京都大学、大阪大学など日本QSトップ10大学の研究室情報です。
千田紀隆教授の研究室は、天然物の効率的・ステレオ選択的全合成を柱としており、特に酸化的な反応や保護基の多用を避け、官能基の選択的反応性を活かした新規合成手法の開発に注力しています。N-メトキシアミドを用いた化学選択性の高いアミドとアルデヒドのカップリングや、イリジウム触媒を用いた還元的求核付加反応など、官能基を豊富に含む複雑分子に対しても高効率で合成を実現する戦略が特徴です。糖を出発物質とするステレオ選択的合成も得意とし、神経栄養因子や抗生物質など医薬的価値の高い天然物の全合成を数多く達成しています。
Murata教授の研究室は、自己免疫疾患、特に rheumatoid arthritis(RA)や骨関節炎(OA)の発症メカニズムを、マイクロRNA(miRNA)の機能とそのバイオマーカーとしての可能性に着目して研究しています。血清および関節液に由来するmiRNAの発現パターンの違いを解明し、疾患の診断や活動性評価に役立つ新たなバイオマーカーの開発を目指しています。また、骨折治癒過程におけるmiRNAの役割や、治療薬(例:メトトレキサート)の術後影響についても臨床的・分子的アプローチを併用して研究を進めています。
Takashi Nomura教授の研究室は、皮膚免疫学と寄生虫病の分子メカニズムに焦点を当てた研究を推進しています。特にアトピー性皮膚炎の多様な炎症経路(Th2、Th17、Th22など)の解明や、マラリア原虫におけるクロロキン耐性の遺伝的基盤(pfcrt遺伝子の機能)の解明が主な研究テーマです。これらの研究を通じて、皮膚炎の新しい治療標的に向けた基盤を構築しています。
Kanazawa教授の研究室では、カチオン的開環重合とビニルエーテルのリビングカチオン重合に注力しており、特に金属ハライドや無ルイス酸系触媒を用いた高効率で制御性の高い重合反応の開発を進めています。反応条件の最適化や、反応速度の劇的向上、分子量分布の狭さ(Đ ≤ 1.1)を実現するための触媒設計が特徴です。また、反応系の不活性条件下や水分耐性、触媒の回収・再利用可能性にも配慮した、実用的でスケーラブルなプロセス開発が進められています。
Tomohiro Yamazaki教授の研究室は、RNA結合タンパク質や長非コーディングRNA(lncRNA)が細胞内での相分離を介した膜様小器官の形成に果たす役割を解明しています。特に、NEAT1_2 lncRNAが核内小体(パラスペロイド)を形成するメカニズムや、FUSやSMN複合体が神経変性疾患の発症に関与する分子機構を解析しています。また、mRNAの核外輸送や細胞周期調節に関与するRNA依存性の相分離機構についても、ゲノムスケールで網羅的な解析を進めています。
東宮教授の研究室では、ナノスケールの金属線やナノ材料界面の熱的・機械的挙動を、電子顕微鏡内でのジャウール加熱を用いて高精度に制御・観察する研究が進められています。特に、極細プラチナ線の溶融接合や切断、カーボンナノチューブと銀ナノワイヤーのナノ界面挙動の原子スケール理解が柱です。また、乾接触型超音波測定技術の開発を通じて、生体材料や薄膜の高精度な物性評価にも貢献しています。
伊達亮吉教授の研究室は、耳管機能障害とその一因である習慣的鼻すう症候群(PET)に注力した臨床的研究を推進しています。特に鼻腔内への生理食塩水やPEPの投与による耳管閉鎖療法、および改良型プラグを用いた治療法の有効性・安全性の検証が中心です。画像診断(静止状態での撮影)や耳管機能検査の感度・特異度の検討を通じて、PETの正確な診断基準の確立を目指しています。
Kartik Sau教授の研究室では、全固体型二次電池の固体電解質としての応用が期待される超イオン伝導体の設計と物性解明を主眼としています。特に、ナトリウムイオンやリチウムイオンの高速拡散機構、イオン間相関やアニオンの自己組織化運動が電導度に与える影響を、分子動力学的シミュレーションと第一原理計算を融合して解明しています。また、複雑な水素化物やナノスケールの酸化物系材料における相転移挙動やイオン輸送のメカニズムの解明にも取り組んでいます。
Kohei Shimokawa教授の研究室では、金属マグネシウムを用いた高効率で安全なリチウムイオン電池に代わる次世代電池の開発を主眼としています。特に、マグネシウムイオンの可逆的挿入・脱挿入を実現するための新規カソード材料の設計や、高濃度電解質によるマグネシウム金属アノードの表面安定化に注力しています。また、光充電や液体硫黄/硫化物複合カソードといった革新的な電池システムの構築にも取り組んでいます。
タンモイ・ロイ・ツッシャー教授の研究室は、持続可能な環境技術と都市環境の質的向上を柱とした研究を展開しています。特に、医薬品廃水や1,4-ジオキサンなどの環境汚染物質の微生物的分解、都市部における水質汚染の原因とその季節的変動の解明に注力しています。また、屋上農業における重金属やPAHsの蓄積リスクの評価や、有機資材の導入による土壌改良とリンの効率的利用の可能性についても実践的・科学的なアプローチをとっています。
Mehrdad Elyasi教授の研究室では、スピン系における非線形性とトポロジーの相互作用に着目し、磁気励振子(マグノン)の非線形動力学、量子情報処理に応用可能なスピン系の揺らぎ制御、および新しいスピンデバイスの創出を主な研究テーマとしています。特に、マグノンのソリトン生成、Suhl不安定性に起因する確率的スイッチング(p-bit)、およびスピンポンプを用いたナノ磁性体の同期化現象の理論的解明が進んでいます。低温・ナノスケールでのスピン熱電効果や、量子的非線形性の実現可能性についても探求しています。
Tomoka Hasegawa教授の研究室では、骨の形成と石灰化の分子メカニズムに焦点を当て、特にマトリックスビューティクルによる石灰化の制御や、骨芽細胞の機能・接着機構、および骨代謝疾患における骨形成異常の解明を進めています。特に、ビタミンDアナログやPTHの併用療法、スクラロステインの局在的役割、腎機能障害に伴う骨代謝異常のメカニズムについて、分子・細胞生物学的手法を用いて系統的に研究しています。
福島大学工学部の藤田修教授研究室では、強相関電子系のスピンペイエルズ状態や低次元スピン系の磁気励起状態を中性子散乱を用いて精密に解明する研究を行っています。また、神経形態計算用LSIに応用可能な高精度アナログメモリとしての浮遊ゲートMOSFETの開発も進め、ナノスケールの電荷制御技術の構築を目指しています。これらの研究は、物性物理学とデバイス工学の融合を図る画期的な分野です。
Senboku教授の研究室は、電気化学的反応を活用した二酸化炭素の効率的固定を柱としています。特に、アルケンやアルデヒド誘導体、α-アミノスルホン酸誘導体を原料として、炭素–炭素結合形成とCO₂の効果的導入を組み合わせた新規合成法を開発しています。反応は大気圧CO₂下でPt電極とMgアンソードを用いるシンプルな電解セルで実現され、非対称アルキル化やラジカルシクロ化を介した多機能的化合物の合成が可能です。医薬品中間体や非ステロイド性消炎薬(NSAIDs)の新規合成への応用も進んでいます。
Kumagai教授の研究室は、非対称触媒反応の開発に焦点を当てており、特に亜鉛錯体を用いたエナンチオ選択的アルドール反応や、協同触媒を活用したC–CおよびC–N形成反応の研究が顕著です。金属錯体と有機触媒の協働機構を巧みに制御することで、反応の効率性と立体選択性を両立した新規反応系の構築を進めています。また、CF₃を含む立体化学的に多様な骨格を有する有機化合物の合成にも貢献しています。
本研究室では、自己免疫性炎症性筋炎や脳血管障害に関連するサイトコイニンの役割に注目し、特にIL-6や抗SRP抗体などのバイオマーカーが神経炎症や脳損傷の修復に果たす多様な機能を解明しています。特に、脳虚血後のIL-6の局在と細胞源の特定を通じて、神経保護と損傷修復のメカニズムを解明しています。また、免疫チェックポイント阻害剤に伴う筋炎の早期診断の重要性にも注力しています。
Yusuke Takezawa教授の研究室では、金属を介した人工DNA塩基対を基盤に、機能性DNAナノ材料の設計と創出を進めています。特に、金属イオンと配位子を有する人工ヌクレオチドを組み込んだDNA系が、温度安定性やスイッチング機能を備えたスマート材料としての応用が目指されています。また、酵素を用いた合成法の開発により、人工DNAの実用的応用への道筋を確立しています。
Hongyuan Jia教授の研究室では、都市下の乱流境界層における物質移流のメカニズムを解明するため、風洞実験と数値シミュレーションを融合したアプローチを展開しています。特に、都市形状に起因する不均一なフラックスフットプリントの分布を高精度に評価するための新しいバックワード・オイラー的フットプリントモデルを開発しており、都市環境における大気質評価や環境政策の根拠形成に貢献しています。
Meng An教授の研究室は、持続可能な水処理技術と次世代エネルギー材料の開発を柱としています。特に、太陽光を用いた界面蒸発型海水淡水化技術や、セルロース・グラフェン酸化物を基盤とするスマート材料の開発に注力しており、環境に配慮した高性能材料の創出をめざしています。また、バイオマテリアルを活用した湿度応答性デバイスや、ナノ構造を制御した水凝膠・イオンゲルの開発も進んでいます。
阿夫デーシュ・クマール・シャルマ教授の研究室では、福島第一原子力発電所のデブリ回収や除染作業における放射性エアロゾルの制御に焦点を当てた研究を推進しています。特に、0.1〜1μmのサブミクロンサイズの放射性エアロゾルを効果的に捕集・除去するためのスプレー洗浄技術や、ジェット冷却による熱伝達メカニズムの解明が中心です。実験施設を活用したスケールアップ可能な技術開発が特徴で、原子力施設の安全な廃炉に不可欠な環境・作業安全技術の確立を目指しています。